子育てや福祉、中小企業活性化策など政策の目標値を定めた横浜市の「中期4か年計画」(2010〜13年)の中間評価で、市は達成率を約93%とした。初の試みについて、13日に開かれた市会常任委員会で市議からは「市民目線からずれている」「第三者の評価を入れるべきだ」と批判や苦言が相次いだ。
 市政策局によると、評価は数値目標など客観指標と市長らによる総合判断を基に実施。S、A、B、Cの4段階に分けた。全46項目のうち予定通り進まなかったCは3項目だけだった。
 委員会では、公明党の行田朝仁氏が「たとえば児童虐待・DV(配偶者や恋人の暴力)被害防止対策はBとなっているが、実感では悪化している。市民の感覚とは違う」と指摘。自民党の草間剛氏も「自己評価の在り方をもう一度考えてほしい」と改善を求めた。共産党荒木由美子氏も「課題と今後の対応策についての記述が少ない。市民が知りたい肝心なことが分かりにくい」と工夫を促した。一方、「民間企業のように節目節目でチェックする姿勢そのものは正しい。評価を共有する文化を市役所内につくることは大事だ」(民主党・花上喜代志氏)とする声もあった。
 鈴木隆副市長や小林一美政策局長は「中間で一度評価し、課題を見いだして解決するために行った。反省点もあり、指摘は厳しく受け止める」などと答えた。市は最終的な評価については第三者評価を導入することを検討していくという。

本記事では,横浜市における「中期4か年計画」の「中間振り返り」の取組を紹介.同取組に関しては,同市HPを参照*1
同「振り返り」では,二つの評価が行われている.まずは,同計画内で設定されている「達成指標の達成度」を測る取組である.具体的には,「目標値」(4か年)に対する「直近の値」(原則2か年)の進捗率」を判断.「進捗率(中間期換算) 達成度」は,「60%以上(120%以上)」の場合には,「目標を上回った」として「 ◎」印,「45〜60%未満(90〜120%未満)」には「概ね目標どおり」として「 ○」印,「45%未満(90%未満」には「目標を下回った」として「 △」印.また「未調査等」は「―」印とされている.もう一つは,「主な事業の進捗状況」の把握である.これも「中期4か年計画冊子に掲載されている「想定事業量」と「2か年の実績」の比較を基本」に,上記の「達成指標の達成度」の「考え方に準じ」「予定を上回った」場合は「◎」印,「予定どおり」であれば「○」印,「予定を下回った」場合は「△」印として「進捗状況を判断」されている.
この二つの結果を踏まえて「中間評価」を行う.「予定を大きく上回って進んだ」と判断された場合には「S」,「予定を上回って進んだ」場合には「A」,「予定どおり進んだ」場合は「B」,「予定どおり進まなかった」とすれば「C」*2とする.
実際の「振り返り」の結果を拝読させて頂くと,35施策ある「基本政策」では,Sが2,Aが11,Bが19,Cが3との評価にある.11の「行財政運営」の「取組」に関しては,Sは0,Aが5,Bが6,Cは0とある*3.これら2つの「振り返り」結果をあわせて,「基本政策・行財政運営に掲げた施策・取組のうち約93%(43/46)の「中間評価」がS・A・B評価となり,中間期における目標を概ね達成」との認識も「総括」*4として示されている.
「中間振り返り」という題目からも,計画の実施段階での評価ともいえる同取組.同取組を通じて,実施担当者の認識もよく分かり,むしろ,実施過程の透明性が高まる「パブリシティ」*5の効果も期待ができそう.中間以降の計画実施後の「振り返り」結果との対比もできると,興味深そう.要確認.

*1:横浜市HP(市の組織政策局本市基本方針・方針検討中期4か年計画)「中期4か年計画 2010-2013中間振り返り」(平成24年9月) 

*2:前掲注1・横浜市(中期4か年計画 2010-2013中間振り返り)1頁

*3:前掲注1・横浜市(中期4か年計画 2010-2013中間振り返り)3頁

*4:前掲注1・横浜市(中期4か年計画 2010-2013中間振り返り)2頁

*5:青山やすし『都市のガバナンス』(三省堂,2012年)70頁

都市のガバナンス

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