広瀬勝貞知事は5日の県議会本会議で、2015年春に開館する新しい美術館(大分市寿町)の名称について「大分県立美術館」とする考えを示した。県民に親しまれる愛称も検討する。県文化スポーツ振興財団の体制を強化した上で、財団に運営を委託する。
 名称の候補には「大分県美術館」も挙がっていた。広瀬知事は「県が設置者として組織を支え、責任を取る姿勢を示す観点から県立の方が分かりやすい」と説明。美術館と隣接し、一体管理となる「大分県立総合文化センター」(いいちこ総合文化センター)との整合性も考えたとした。運営体制については、県芸術文化ゾーン創造委員会が11月、県の積極関与を前提に、文化スポーツ財団による指定管理が望ましいとする中間答申を出した。広瀬知事は「答申を真摯(しんし)に受け止める。財団の機能・体制をしっかり強化し、指定管理者とする。芸術文化の振興が財団に任せきりにならないよう県も一体となって取り組む」と述べた。
 土居昌弘氏(自民・無)の一般質問に答えた。

本記事では,大分県における新しい美術館の名称案を紹介.「大分県立美術館」の名称を用いられる模様.
本記事で紹介されている「県の積極関与を前提」とした指定管理者制度とは,どのような仕組みなのだろうと思い,「芸術文化ゾーン創造委員会」による「中間答申」*1を拝読.同答申では,「どのような管理主体が望ましいか」というテーマに対して,次のような意見をまとめらている.まずは,前提として,「基本的には県が直接運営することが望ましい」との考えにある,という.しかし,「多くの公演や企画展示などは準備期間も含めて複数年度にわたることが通例であること」,「休館日・開館時間等県民サービス向上への対応」や「民間ノウハウの導入による効率的な運営などの点」では「県が直接運営することの課題は少なく」ないとも整理する.とはいえ,「指定管理者制度による場合」,「管理,運営に重きが置かれ,芸術文化において特に大切な創造的な取組がおろそかになるなど」の「管理実態が本来の設置目的に沿わない事例」もあるとの認識も示す,その結果,まずは,「県と十分な連携をとれる財団法人大分県文化スポーツ振興財団を母体」とすることを提案.次いで,同財団は「発展改組」し,「県と財団が一体となって管理運営を行うことが最良の方法」と提案する.更には,「同財団を管理者として指定することが望ましい」*2との見解も示されている.
なるほど,「県の積極関与を前提」とは,まずは事実上の「非公募方式」*3での指定管理者への移行されることから開始される模様.実際の選定方式,指定管理者への移行後の,同県の「直接的な執行とは異なる形でのかかわり方」*4は,要経過観察.

*1:大分県HP(組織からさがす県立美術館推進局大分県芸術文化ゾーン創造委員会 委員会資料)「大分県芸術文化ゾーン創造委員会 検討結果報告書(中間答申)

*2:前掲注1・大分県大分県芸術文化ゾーン創造委員会 検討結果報告書(中間答申))3頁

*3:松井望「第11章 政策設計と政策実施.評価」柴田直子・松井望編著『地方自治論入門』(ミネルヴァ書房,2012年)232頁

地方自治論入門

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*4:前掲注3・松井望2012年:234頁