岩手県大槌町は、東日本大震災で犠牲になった町民1284人(関連死も含む)全員の人柄などを記録する「生きた証(あかし)プロジェクト」を本年度、再始動させた。「検証が先」「遺族につらい思いを強いる」と町議会が昨年、仕切り直しを迫ったが、町が説明を重ね一定の理解を得た。町は実行委員会を発足させ、10月にも遺族らへの聞き取りを始める。
 実施計画案によると、記録を通して、犠牲者を供養するとともに震災の記憶の風化を防ぐのが狙い。避難行動などの防災にも役立てる。遺族の同意を得た上で犠牲者の経歴、人柄、生前のエピソード、故人へのメッセージなどをまとめる。被災時の状況も可能な範囲で聞き取る。取材は案内役の住民、聞き手と記録員の3人で1チームを編成。地区ごとに配置し活動する。事業期間は2015年度末まで。記録集など紙媒体を基本に編集、保存し、町が計画中の図書館、文書館などでの公開を検討する。取材、編集はコンサルタントなど民間へ委託する。町は町民、町議会へ計画案を説明した上で正式決定し、7月に委託業者を公募する。事業全体の計画や実施体制の調整は、町内会や町議会の代表者14人で構成する実行委で協議していく。第1回会合は5月30日に開かれた。釜石仏教会事務局長で吉祥寺(大槌町)住職の高橋英悟委員長は「亡くなった人へ思いを寄せることが、残されたわれわれの生きる力になる事業にしたい」と話した。

本記事では,大槌町における犠牲者に関する記録の取組を紹介.
同取組の名称は,「生きた証(あかし)プロジェクト」*1.「2年間かけて」「話をしてくれる人を紹介する案内役,取材する聞き手,記録役の3人1組でチームを組んで町内を回り」,「どんな人柄だったか」「どんなエピソードがあったか」「どこで被災したのか」など「犠牲者全員を対象」に「遺族らから話を聴き」「その結果を記録集にまとめ」*2る.お話を頂ける方々から「バックグラウンド」*3を含めた聞き取りを想定されている模様.「構造化されればさされるほど」「信頼性がある確かな」*4情報を得られるとすれば,実際にはどのような方式で聞き取りを進めるかは,公表後,要確認.

*1:大槌町HP(属性一般記事)「「決してあなたを忘れない」〜「生きた証」事業始まる

*2:前掲注1・大槌町(「決してあなたを忘れない」〜「生きた証」事業始まる)

*3:河村和徳『東日本大震災地方自治ー復旧・復興における人々の意識と行政の課題』(ぎょうせい,2014年)6頁

東日本大震災と地方自治―復旧・復興における人々の意識と行政の課題―

東日本大震災と地方自治―復旧・復興における人々の意識と行政の課題―

*4:Thiel,Sandra van.(2014)Research Methods in Public Administration and Public Management: An Introduction, Routledge p.100.

Research Methods in Public Administration and Public Management: An Introduction (Routledge Masters in Public Management)

Research Methods in Public Administration and Public Management: An Introduction (Routledge Masters in Public Management)