台東区は二十四日、空き家対策特別措置法に基づき、倒壊の恐れがある同区橋場二の空き家の解体を始めた。建物の所有者が確認できない場合に適用する略式代執行の手続きで実施。町田市が昨年十月、空き家敷地内の木やトタン板の撤去を略式代執行で行ったが、建物全体で適用するのは都内で同区が初めてという。
 空き家は木造二階建て、延べ床面積は約四十平方メートル。住宅地の一角にある。築年数は不明だが、地域住民らによると、昭和三十年代に建てられ、十年ほど前から空き家だったという。
 この日は区職員が代執行を宣言した後、解体作業員が周囲に工事用のフェンスを設置した。一週間ほどで解体を終える予定。
 区は二〇一二年に区民から「老朽化した空き家がある」と通報を受け、不動産登記などで所有者の調査を始めたが、突き止められなかった。ここ数年で建物が傾き始めるなど倒壊が進み、隣接する建物への被害防止などのため解体に踏み切った。
 費用は約百五十万円。所有者が今後も見つからなければ、区の負担となる。区内の空き家は四百五十五棟(昨年十二月時点)あり、倒壊の恐れなどがある「特定空き家」は今回解体する一棟のみ。所有者が判明している特定空き家の解体は、都内では葛飾区や板橋区などで実施されている。 (川田篤志

本記事では、台東区における空家等対策の取組を紹介。
同区では、2018年「1月24日」に「空家等対策の推進に関する特別措置法」に「基づき」「略式代執行を実施」*1。略式代執行に至るまでの「経緯」*2は、次の通り。まずは、2012年「11月」に「通報により調査開始」、2015年「5月」には同法が「完全施行」されたことに「基づ」き、「所有者等調査」を「拡大」*3。2017年「3月」には、同区の「空き家等の適正管理に関する条例」を「全部改正」し、同年「9月」に同法第2条第2項の「特定空家等に認定」し、同法「第14条第1項及び第2項」に基づき「土地所有者への指導・勧告」し、同年「11月」に同法「第14条第10項」に基づき「略式代執行」を「公告」*4している。
本記事によると「費用は約150万円」であった模様。「行方不明や相続人が不存在の場合」*5とされている同空家。当該費用の負担状況は、要観察。

*1:台東区HP(プレスリリース2018年1月)「空家等対策の推進に関する特別措置法に基づく略式代執行 所有者不確知の著しく管理不全な特定空家等の解体に着手します

*2:前掲注1・台東区空家等対策の推進に関する特別措置法に基づく略式代執行 所有者不確知の著しく管理不全な特定空家等の解体に着手します)

*3:前掲注1・台東区空家等対策の推進に関する特別措置法に基づく略式代執行 所有者不確知の著しく管理不全な特定空家等の解体に着手します)

*4:前掲注1・台東区空家等対策の推進に関する特別措置法に基づく略式代執行 所有者不確知の著しく管理不全な特定空家等の解体に着手します)

*5:北村喜宣・ 米山秀隆・岡田博史『空き家対策の実務』(有斐閣、2016年)155頁

空き家対策の実務

空き家対策の実務