東京都が26日発表した都立病院の次期中期計画は救急医療などの維持と、地域医療への貢献を目指す方針を打ち出した。経営の効率化や透明性確保のため、収支目標を初めて病院ごとに設けた。経営の自由度を高めるため、直営から独立行政法人への移行も検討する。
 次期中期計画「都立病院新改革実行プラン(仮称)」は2018年度から6カ年の計画。広尾病院(渋谷区)など8病院の経営方針を示す。都民からのパブリックコメント(意見公募)を経て正式決定する。
 経営効率化のため、支出に対する収入の割合を示す自己収支比率の目標を病院ごとに設定。駒込病院(文京区)の場合、計画最終年度の23年度に16年度比7.4ポイント増の85.7%に改善する計画。全体では4.0ポイント増の78.7%に引き上げる。各病院の実情に合わせて医療機器の保守点検契約の見直しなどを促し、自己収支比率の改善につなげる。
 人事や予算編成の自由度が増す独法化を検討する方針も盛り込んだ。財務面のメリットなどを整理し、23年度までに結論を出す。
 高齢化や在宅医療を推進する国の政策を踏まえ、地域医療への貢献にも努める。民間病院に医師や看護師を派遣し、研修で技術指導するなど人材育成を進める。
 20年の東京五輪を見据え、外国人患者の受け入れも強化する。現在は広尾病院だけにとどまっている外国人患者受け入れ医療機関認証制度(JMIP)に基づく認証取得を全都立病院に広げる目標を示した。

本記事では、東京都における公立病院に関する取組を紹介。
同都では、2018年度から2023年度までの「6年間」の『都立病院新改革実行プラン2018(仮称)素案』*1を公表。同プランのなかでは「経営形態」に関して「都立病院は、効率的かつ効果的な経営を促進し」「公立病院として行政的医療の提供などの役割を」「将来にわたり安定的に果たしていかなければな」らないとの認識のもと、その「一般地方独立行政法人を含めた各経営形態における人事・給与」「財務面等のメリットやデメリットなど」「都立病院の運営実態を踏まえて検証を行い」「経営形態のあり方について、本計画期間中に検討を進めてい」*2く方針が記載されている。「地域が創設し、地域に開かれた医療機関*3の運営形態の検討過程は、要観察。

*1:東京都HP(都政情報都政組織情報東京都の組織・各局のページ病院経営本部報道発表平成29年度「都立病院新改革実行プラン2018(仮称)素案」の策定及びご意見の募集について)「「都立病院新改革実行プラン2018(仮称)素案~東京の医療を支え、誰もが地域で生き活きと暮らせるために~」(2018年2月、東京都病院経営本部)

*2:前掲注1・東京都(「都立病院新改革実行プラン2018(仮称)素案)123頁

*3:伊関友伸『自治体病院の歴史 住民医療の歩みとこれから』(三輪書店、2014年)622頁

自治体病院の歴史 住民医療の歩みとこれから

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