5年に1度の国勢調査が1日付で全国一斉に実施される。人口や世帯構成を把握し、選挙区定数の見直しや地方交付税の算定などに利用するための基礎的な調査で、今回が19回目。推計人口が2008、09年と連続で減るなど、日本が本格的な人口減少社会になってから初の調査となる。
 今回は10年ごとに実施する大規模調査に当たり、20項目を調べる。総務省の概算によると調査対象は国内に居住する約1億2700万人、約5千万世帯。人口や世帯数の速報値は来年2月に公表する。プライバシー意識の高まりなどを背景に、今回から回答した調査票の提出は調査員に手渡すほか、市区町村への郵送も可能に。東京都内では試験的にインターネットでの回答もできるようにした。

本記事では,国勢調査が本日10月1日より実施されることを紹介.
本備忘録でも,2009年1月8日付同年1月11日付同年10月2日付2010年6月11日付同年6月20日付の各本備忘録でも記したように,下名の「自治体行政」以外での観察課題の一つが,統計調査における実施機構*1.ただ,同対象もまた,結果的(いえ,必然的でしょうか)に,「現場で調査を遂行する立場」*2としての自治体行政の関係から観察してしまいつつも,現在においてもまた,観察が殆ど進展していない「遊休農地」状態(より正確には「耕作放棄地」状態ですね).
本記事で紹介されているように,今回の国勢調査では,回収における郵送方式の採用,東京都内におけるインターネット回答が採用.実施主体の方式の「分散化」*3により,2009年10月2日付の本備忘録でも言及したように,媒介者としての国勢調査員制度を経由しない回答・回収方式となり,「調査の実施機構の外延に被調査者が含まれる形態」*4が顕現されつつあるとも整理ができそう.業務統計との対比からは,「政策立案の基礎となる情報としては調査統計が各段に優れている」*5との認識も示される国勢調査.今回の国勢調査における回収に関する実施機構の変容に伴う,調査実施へと及ぼす影響・効果に関しては,今後,要観察.

*1:松井望「調査統計における実施機構の内包と外延」『都市政策研究』第1号,2007年,123-153頁

*2:佐藤正広『国勢調査と近代日本』(岩波書店,2002年)11頁

国勢調査と日本近代 (一橋大学経済研究叢書 (51))

国勢調査と日本近代 (一橋大学経済研究叢書 (51))

*3:手塚洋輔『戦後行政の構造とディレンマ』(藤原書店,2010年)288頁

戦後行政の構造とディレンマ―予防接種行政の変遷

戦後行政の構造とディレンマ―予防接種行政の変遷

*4:前掲注1・松井望2007年:143頁

*5:前田幸男「自治体の統計・調査・政策立案体制を問う」『都市問題 後藤新平誕生150周年記念』Vol.98,No.9,2007年8月号特別増刊,114頁(amazonには掲載されていないようですので,発行元に直接リンク)