大野城市は16日まで、市役所の窓口サービス利用者の満足度を聞き取る「お客さま満足度調査」を実施している。5年目の本年度が最後となるが、これまで住民票などの申請用紙簡素化や庁舎案内板の改善などにつながった。同市は「市民目線が足りなかった旧態依然の構造に気付かされた」と効果を強調している。
 同市は2008年5月、各種証明書発行や転入転出の届け出などを一つの窓口で受け付ける「ワンストップサービス」を導入。これに合わせて06年11月、市民の満足度調査を始めた。毎年1回、市役所を訪れた市民500人に、職員の接客態度や待ち時間の長さなど10項目の満足度を5段階評価してもらう。他自治体でも民間業者委託の調査はあるが、同市は管理職も含めて部課を超えた約80人が7日間、直接利用者から話を聴いている。「生の声を聴き、肌で感じるため」という。
 こうした過去4回の調査から改善を生んだ例もある。住民票と印鑑証明、戸籍を申請する場合、用紙3枚それぞれに記入が必要だったが、「名前と住所を何度も書くのは面倒」との指摘を受け、08年から用紙1枚に簡素化した。また、プライバシー保護に不安を訴える市民の声で窓口に仕切り板を設置。各課を示す案内板には番号をつけて分かりやすくした。窓口サービス向上課の水上修司課長(55)は「何より職員に接客意識が根付き、笑顔の対応が浸透した」と話す。
 今回の結果は年度内に報告書にまとめ、一層の業務改善に生かす。事業は一区切りとなるが、来年度以降も調査は継続する方針で満足度の低い開庁時間や、ワンストップサービスの充実などに質問内容を変えて実施するという。。

本記事では,大野城市における,窓口サービスへの満足度調査の取組を紹介.2008年5月18日付の本備忘録にて,本記事でも「ワンストップサービス」を図るべく,「総合窓口」*1設置の取組を紹介させて頂いた同市.本記事を拝読させて頂くと,同窓口の設置以降,毎年度,「窓口サービス顧客満足度調査」を実施され,調査結果を踏まえて「改善」を図られる「例」もある模様.興味深い取組.最も最近の調査結果(と思われます),同調査内容に関しては,同市HPを参照*2
調査方法は,本記事にて紹介されているように,「外部の調査員に全面的に業務を委託する」方式を採用されず,「職員」が「延べ70名」及び「臨時職員」が「1名」と「市職員自身が調査員」となり,「直接市民から」*3,「職員の対応関係(4問)」「処理時間,申請書類等の手続関係(2問)」「施設案内,設備関係(3問)」「現在の開庁時間(1問)」の「4分類合計10問」*4に関して,「意見」を聞く「方法」を採用され,「545票」を「回収」*5されている.また,あわせて「職員を対象にした「窓口サービス職員意識調査」」*6も実施されており,窓口サービスの利用者と「職員の意識比較」も可能となり,例えば「満足度及び改善要望度」では,窓口サービスの利用者は,「言葉遣い」,「説明の分かりやすさ」,「あいさつ」に重きを置いていることに対して,「職員の満足度」からは「プライバシーの配慮」,「設備の充実度」,「言葉遣い」と順にあり「お客様と職員の意識に差」*7も把握できる.本報告書内では,窓口サービスの利用者(「市役所を利用される市民」を「お客様」と換言されており,顧客対応都の取組として,大変興味深い.
ただ,その「顧客が時とともに変わるなか」*8で「声に傾けつつつ,常に多様な顧客に価値をもつポジションを探る」*9ことの難しさもありそうか.今後も,同調査結果には,要経過観察.

*1:大野城市HP(市政情報市役所窓口)「まどかフロア

*2:大野城市HP(市政情報市の政策窓口サービス顧客満足度調査の結果がまとまりました。)「平成21年度窓口サービス顧客満足度 第4回調査報告書」(大野城市 市民部 窓口サービス向上課,平成22年2月)

*3:前掲注2・大野城市(平成21年度窓口サービス顧客満足度 第4回調査報告書)1頁

*4:前掲注2・大野城市(平成21年度窓口サービス顧客満足度 第4回調査報告書)2頁

*5:前掲注2・大野城市(平成21年度窓口サービス顧客満足度 第4回調査報告書)1頁

*6:前掲注2・大野城市(平成21年度窓口サービス顧客満足度 第4回調査報告書)1頁

*7:前掲注2・大野城市(平成21年度窓口サービス顧客満足度 第4回調査報告書)13頁

*8:沼上幹『経営戦略の思考法』(日本経済新聞社,2009年)216頁

経営戦略の思考法

経営戦略の思考法

*9:前掲注8・沼上幹2009年:232頁