秋田県能代市郊外へイオンが大型ショッピングセンター出店を表明していた問題で、出店の賛否を問う住民投票条例案を審議していた能代市議会本会議は8日午前、条例案を反対多数で否決した。
条例案は、出店に反対する市民団体が1月に、制定を求め能代市長に直接請求していた。イオンは2005年に、能代市に出店を打診。当時の市長は出店に反対だったが、06年初当選した斉藤市長が出店を容認し、反対運動が起きていた。大型店進出をめぐり、住民による条例制定の直接請求は大分県別府市や長野県上田市などであったが、いずれも市議会で否決されている。
同記事では、能代市への大型ショッピングセンター出店に関する住民投票条例制定への直接請求を受けて、審議の後、賛成11・反対16の結果、同条例案が廃案となったことを紹介。読売新聞(2008年2月9日)の記事によれば、来週からは、出店予定地への農業振興地域の解除手続きが再開される予定とのこと。
商店進出は、住民、首長、議員等、それぞれの各立場(アイディア、利益)が異なるため、地域振興の方策として常に政治的判断が伴う。自治体観察上、興味深い点はその判断を住民投票制度によるとした点。市町村合併をめぐり住民投票制度が、いわば常態化しつつあるなか、何を住民投票制度野対象とするかという論点を提供している。もちろん、そもそも住民投票の対象に「適」「不適」の分別が成立するのかという疑問もある。敢えて既存の研究の観点からみれば*1、大型商店出店が住民投票の対象とすることは、必ずしも適さないという整理もあろう。一方で、アメリカでは、ウォルマート出店を住民投票で判断した事例もあるという*2。
ただ、同記事を読むと、地域では、そのような整理はおかない無く、住民投票制度への旧来的な期待感があることを明らかにするとともに、既存の住民投票制「論」に地域実情が対応したものとなっているかという問いを投げかけてくる。