政策提言 公文書管理の法整備に向けて

政策提言 公文書管理の法整備に向けて

福田康夫首相の施政方針演説を受け、公文書の保存に向けた体制を整備が検討される。朝日新聞2008年2月8日の記事では、閣議決定された答弁書内で「文書管理や公文書館制度等に識見を有する者からなる会議を開催し、文書管理等の法制化に向けた検討や国立公文書館制度の拡充方針についての検討を行う」とあることが紹介されていた。行政を観察する(文書を利用させていただく)観点からはもちろん、文書管理・情報管理の観点からも今後の動向が興味深い。
同書では、公文書管理法案を検討し2案を提言している。同提案内で、特に興味深い点は、分担管理原則と公文書の作成・移管・保存・破棄の関係。これは、中川丈久先生が指摘されている「内閣の総合調整機能の発揮によって、歴史的資料に関する公文書管理の方向性をトップダウンで決めることは十分にあり得る」(242頁)という点に首肯。
ただ、自治体における公文書管理の問題も出てくる。同提案では自治体に対する規程としては、明記する案と明記しない案が提案されている。統一的な文書管理・情報管理がより好ましいことは確実であるが、分権の観点からは悩ましい課題。