名古屋市中心部への車の流入減少と放置自転車対策を兼ねた社会実験「名チャリ」プロジェクトが21日、栄や名古屋駅周辺で始まった。23日まで。
 名大大学院の竹内恒夫教授(54)の研究室に所属する大学院生らが企画。昨年初めて実施され、栄と大須の2カ所で13日間、130台の自転車を貸し出し、延べ1872回の利用があった。今回は市の協力を得て栄、名駅、伏見の11カ所で実施。「前回、鉄道駅から貸出場所が遠く利用しづらいという声があった」(竹内教授)のを受け、貸出場所を駅付近に増設。200台に増やした自転車もすべて放置自転車をあてた。初日は午前10時半から栄広場で「プロジェクト開始宣言」が行われ、大学院生や市職員が自転車で出発。しかし、直後に雨が強まり、貸し出しを中止した。メンバーの名大院1年生青木宏行さん(23)は「自転車を共有して使えば放置自転車もなくなるし、利用者にも便利だと市民に伝えたい」と話した。22、23日は午前10時から午後7時までの間、貸し出しを行う。

同記事では,名古屋市において,9月21日から23日まで実施された,自転車の無料貸し出しに関する社会実験について紹介.同社会実験の詳細については,同大学大学院HPを参照*1
自転車を活用したまちづくりについては,国土交通省HPでも「自転車活用のまちづくり」として,2000年〜2006年度までの「社会実験」が紹介されているように*2自治体でも広まりつつある試み.同学は2007年12月の第1回目に引き続き,2回目の社会実験となる.「条件間比較」*3を行うためにも,実施箇所の増加は,仮説検証に有益.
前回の取り組みを紹介したサカエ経済新聞の報道を拝読してみると*4,同社会実験においては,まずは豊かな発想(理論的な変数に関する仮説構築)があり,その後,各種制度との整合性を検討することで,同実験(実証作業)が進められていることが分かる.まずは,制度的考察が中心となりがちな下名にとっても,思考方法としては大いに参考.
今回の社会実験では,名古屋市側の協力もあったことが特徴とある.これは,最初の1回目の社会実験という実績により,自治体にとっても「不確実性減少」*5が機能したこともその要因の一つか.ただ,自治体も関与することで「実験的事業が「失敗できない実験」になる」(156頁)ことなく,社会実験を通じて,車の流入減少と放置自転車の削減という2つの仮説の証明に止まらず,事業化した場合の現実的な課題(例えば,コミニティサイクルの放置問題・盗難問題,私有自転車との共存問題等)についても,多角的に仮説・検証がされると,一般化に結びつくか.