【北広島】市は三十一日、全国の自治体で初めてプロポーザル式(公募)で市広報紙の編集業務を委託したNPO法人「ひろがり」(鳥本武司理事長)と新たに一日から二年半の長期契約を結んだ。試行期間の半年間に発行した広報紙が評価され、「円滑な発行業務が継続できる環境が整った」(市情報推進課)ためで、民間編集の広報紙が本格的にスタートする。(石垣総静)
 今回の契約は二年半で総額は二千二百四十七万円。毎月一日と十五日の発行で、A4判モノクロでそれぞれ二十四ページと四ページの広報紙を編集し、二万三千六百部ずつを発行する。同法人は昨年十月から広報紙づくりをスタート。当初は市職員と共同で編集業務を行っていたが、十二月一日号からは法人のメンバー八人で作製するようになった。行政用語を極力避け、市民が分かりやすい言葉を用いたり、地域にいるメンバーの情報から取材対象を選んだり、市民の視点から作製。市は「この半年間で、これまでの広報では見られなかった特集が組まれるなど、魅力アップに十分に貢献している」と評価する。鳥本理事長は「広報の仕事がこれほど奥深いとは思わなかった。これからも、北広島の話題を細かく取り上げたい」と話している。

同記事では,北広島市において,プロポーザル方式による広報紙の編集委託をしているNPOと2年半の契約を締結したことを紹介.
同市の同紙を確認してみたところ,2008年10月号には「始まりました 広報紙編集業務委託」と題して,「10月1日から,広報紙編集業務委託が始まりました.市民協働型の委託として市と共に編集業務に当たるのは「NPO 法人ひろがり」です.今後の「広報きたひろしま」にご期待ください」*1と,他の記事に比べると,そこはかとなくと紹介されており,同年12月号の奥付からは,「編集」の項目が「情報推進課・NPO法人ひろがり」*2と連名で記載.今後,同NPOが単独の編集名となるのだろうか.
嘗ての行政広報には「〈頂点への集中〉」という「基本的な方向」とともに,「PRのもともとの出発点は,公衆=住民との日常的な接触関係にある」とされ「PR=広報は,その本来の意味からすれば,組織の末端へと向かい,底辺で拡散される方向を取る」*3とも認識されてきた「行政広報」.同記事のように協働的取り組みを拝読すると「〈底辺への拡散〉」(91頁)とは異なり,「情報活動における局処的(local)な情報ネットワーク」の現状と「重要性」からか「政府の行政活動が独占するできるものではなく,様々な社会のレベルで行われ」「局処的な情報ネットワークの存在」*4の様相にあることが分かり,興味深い.

*1:北広島市HP(広報きたひろしま2008年広報紙2008年10月)「輝く緑 大志が育つ 北広島 きたひろしま」2008年10月号,22頁

*2:北広島市HP(広報きたひろしま2008年広報紙2008年12月)「輝く緑 大志が育つ 北広島 きたひろしま」2008年12月号,20頁

*3:井出嘉憲『行政広報論』(勁草書房,1967年)90−91頁

*4:城山英明「情報活動」森田朗編『行政学の基礎』(岩波書店,1998年)281頁

行政学の基礎

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