過疎と財政難に悩む笠置町和束町南山城村で構成する「相楽東部広域連合」の教育委員会が1日、発足した。複数の自治体が広域連合により、教育行政全般を共同で担う方式を採るのは全国で初。
 3町村と笠置中学校組合の計4つの教育委員会が統合した。教育委員が計14人から5人に、事務局職員が13人から9人に集約され、事務も一体化。2009年度予算では3町村で計4800万円の財政削減効果が見込まれるという。和束町体験交流センター(同町中)内の広域連合事務所で行われた辞令交付式で、手仲圓容連合長(南山城村長)は「3町村の厳しい財政難を切り抜け、生き残る手段として、力を合わせることにした。その効果を上げ、効率化を図ろう」と訓示した。
 教育委員5人の互選で、初代の教育長に前木津小校長の西本吉生氏(60)=木津川市南加茂台=、教育委員長に前和束町教育委員長の岡橋聖舟氏(61)=同町別所=を選んだ。広域連合の役員らが「相楽東部広域連合教育委員会」と墨書された木の看板をセンター玄関に掲げ、発足を祝った。西本教育長は「3町村でそれぞれ行われている教育活動の良さ、環境の良さを早く見いだし、一つにまとめて住民の信託に応えたい」と抱負を語った。

同記事では,笠置町和束町南山城村の3町村から構成される「設楽東部広域連合」が設置され,教育委員会を発足したことを紹介.
2008年12月24日付の本備忘録でも取り上げた,同広域連合.広域連合による教育委員会の設置.これまでの,1つの共同設置(「羽島郡二町教育委員会*1),106の一部事務組合による設置*2はあったものの,広域連合制度では初の教育委員会設置.同広域連合の業務を確認しようと,同広域連合HPを検索するものの把握できず.現在のところ,未開設の模様,残念.
同記事からのみからは,広域連合化による財政負担抑制効果を想定されるとはあるものの,「民主的統制は脆弱」*3ともされる広域連合という「器」を用いることで,教育委員会における「素人統制」に対する民主的統制の確保はやや複雑か.ただ,その必置規制によって「画一的」とも評されることがある「教育委員会制度」が,広域連合化に伴う業務一元化のみならず,各町村での「違いを前提としたネットワーク」*4化のように,「自治体が自ら多様なガバナンス・モデルを創出すること」*5にも結びつくことになると,更に興味深い.

*1:笠松町HP(教育文化課教育委員会の役割)「羽島郡二町教育委員会

*2:文部科学省HP(教育地方教育行政)「教育委員会制度について

*3:金井利之「広域都市圏での補完行政と自治制度」『都市問題研究』第61巻第1号,平成21年1月号,13頁

*4:苅谷 剛彦・清水睦美・藤田武志・堀健志・松田洋介・山田鉄也『脱「中央」の選択』(岩波書店,2005年)67頁

脱「中央」の選択 地域から教育課題を立ち上げる (岩波ブックレット662)

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*5:伊藤正次「教育委員会」『自治体の構想4 機構』(岩波書店,2002年)56頁

岩波講座 自治体の構想〈4〉機構

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