京都府向日市はこのほど、市民が市政に対して提言などを行う「市長への手紙」の2008年度分の集計結果を発表した。総数は123件で前年度(82件)の約1・5倍。項目別では、道路整備に対する意見が13件に上り、4年連続で最も多かった。
 同手紙は郵送やファクス、Eメール、市民ポストで寄せられたが、増加した要因には昨年4月に市役所などに新設した「市民ポスト」の効果が考えられるという。内訳は、最多の13件だった道路整備に対する意見に続いて、公民館のトイレ改修など施設利用についての意見と図書館司書の配置など教育への意見が各9件だった。このほか、市が橋上駅化を検討しているJR向日町駅についてはバリアフリー化などを求める意見が6件あった。集計結果や寄せられた市民の意見と、その意見に対する市の回答の一部は、市のホームページで閲覧できる。

同記事では,向日市において,「市長への手紙」が5割増加したことを紹介.増加要因の分析結果としては,「市役所情報公開コーナー(市役所本館1階),図書館,市民会館」に新設した「市長ポスト」の効果にあるという.寝ぼけた頭で同記事のリードを拝読したため,公聴専門の職位(=ポスト)を設置した効果と思いきや,その名の通りのポスト(=郵便箱)であった模様.同市における「市長への手紙」制度については,同市HPを参照*1
「手紙」と「回答」の内容を拝読してみると,平成19年度には「市議会議員定数」についての「手紙」があり,その「回答」として「平成11年2月、私は市議会議員でありましたが」としての冒頭から始まる箇所を拝読し,「ああ,そういえば,お返事も「市長」からなのか」となることに,(考えてみると当然ですが)改めて気付く.
集計結果もあわせて拝読すると,全123件の「手紙」のうち,メール34件,手紙30件,ファックス5件,そして,新たに設置した「ポスト」は17件*2と全体の約14%.「ポスト」なしの前年度は,手紙35件,メール24件,ファックス2件の計61件*3であったことからすると,メールとファックスの利用増加(それぞれ,1.4倍と2.5倍)もその要因.
「能動的情報資源調達」*4としての「市長への手紙」制度.同制度が能動的な情報調達であるがゆえに「不可避な偏向をどう補正するのか」(273頁)という問題も場合によっては生じることが想定され,「能動的情報調達非公式型による情報収集を行い(「声なき声」の裁量的情報収集),受動的情報資源調達によって収集された情報(「声ある声」の情報収集)の偏向を補正するという方法」(274頁)についても,制度設計上の課題か.