多摩市は、国の住宅市街地総合整備事業を活用し、1971年に入居が始まった多摩ニュータウン内の団地「諏訪2丁目住宅」を中心に諏訪・永山地区の再整備に乗り出す。ニュータウン再生のために同事業を活用する全国初のケースとなる見通し。
 市都市計画課によると、同住宅管理組合の建て替え決議が前提。現段階の整備計画案では、少子高齢化や住宅・公共施設の老朽化などニュータウン共通の課題が集中している諏訪・永山地区(約3平方キロ・メートル)を「整備地区」として設定。そのうち、諏訪2丁目住宅や併設公園など約7万3000平方メートルを住宅整備を核とする「拠点開発区域」、京王・小田急永山駅を中心とした約73万平方メートルを「重点整備地区」としている。
 重点整備地区では、多様な世代が安心・安全に暮らせる環境を整備する。具体的には、国の補助金を活用し、歩行者専用道路や公園内通路の段差解消を進めたり、高低差が大きい地形にエレベーターを整備したりすることが検討されている。諏訪2丁目住宅は、約6万4000平方メートルの敷地に5階建ての23棟が並ぶ。総戸数は計640戸。管理組合は、23棟を一括して建て替えることを決め、昨秋までに高層の7棟に集約して総戸数を約1200戸に増やす計画案をまとめていた。
 しかし、資材費の高騰とマンション市況の悪化を受け、建て替え決議の延期を余儀なくされた。今年5月24日に開かれた管理組合の住民総会では、最高17階建てを14階に修正するなどして工事費を削減した計画案を作成し、今年度内に建て替え決議をする方針が承認された。市は来年度、諏訪・永山地区整備計画を国交省に提出する考えだ。
 永尾俊文・市都市計画課長は、「ニュータウン再生は一つの自治体では対応できない。国は、道路や公園などの建設促進に税金を投入することから、既存のストックが時代の変化に合わせて機能するよう、再整備を支援することにやっと目を向けた」と話している。

同記事では,多摩市において,多摩ニュータウン内の団地再整備を開始し始めることを紹介.同市が活用する住宅市街地総合整備事業については,経済産業省HPを参照*1.同市の諏訪2丁目住宅内にある23棟(約640戸)を「一括して建て替え」るとのこと.同記事後段において,同市都市計画課長のご発言として紹介されている「ニュータウン再生は一つの自治体では対応できない」という指摘は,同ニュータウンが,その当初は「行政区域にとらわれない広域圏での住宅建築」*2という整備の指向もあったと,することからすれば,果たしてその再整備に向けた主体の範囲は要検討課題.

*1:経済産業省HP(政策・仕事住宅・建築住宅補助制度)「住宅市街地整備総合支援事業

*2:山岡淳一郎『マンション崩壊』(日経BP,2006年)177頁

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