県は16日、県内市町村の行財政情報の公表状況を発表した。公表率は大槌町が最も高い100%で、平均は84・3%。矢巾町が56・5%で最も低かった。項目別では第三セクターの決算状況、集中改革プランの進ちょく状況の公表率が低い傾向にあり、財政運営に住民の厳しい目が向けられる中、一層の情報公開が求められる。
 調査は6月30日時点で▽法律に基づく公開情報▽総務省通知に基づく情報▽公表が望ましいと県が判断した情報−の計32項目について市町村独自に公表しているかを調べた。大槌町は集中改革プランや地方税の徴収率向上対策、公共施設の管理状況など対象となった24項目すべてを公表。盛岡市と金ケ崎町が公表率96・4%で2番目、西和賀町、大船渡市と続く。一方、矢巾、野田、川井の3町村は公表率が70%に達しなかった。

同記事では,岩手県において,県内に位置する市町村の行財政情報の公表への取り組み状況についての情報を公表したことを紹介.他の都道府県では,各都道府県内に位置する市町村の予算・決算,財政状況,給与・定員管理,集中改革プランの策定状況等を,例えば個別の市町村へのリンクを通じて,個別に公表されているなかで,同県では,各市町村の「公表」度に焦点を当てて,その結果を公表.興味深い.他の都道府県でも行われているのだろうか,要確認.
同取組については,同県HPを参照*1.「平成20年度 市町村の行財政情報の公表状況」を拝見させていただくと*2,同記事にも紹介されている項目としては,まず「法律により公表が義務付けられている行財政情報」が「11項目」,「通知により公表が要請されている行財政情報」が11項目,「公表することが望ましい行財政情報」が「10項目」を定め,平成21年3月31日時点での公表状況を「書面調査」.同記事では,「公表率」が紹介されてているものの,同調査では,「公表方法」や「公表率と公表方法の関係」についても集計・分析.「公表方法」については,「公表媒体としてホームページ(平均49.2件,構成比38.3%)と広報誌(平均36.6件,構成比28.5%)が多く利用されている」とあり,更に,自治体「間の公表済情報1件当たりの公表媒体数の差は2倍以上,公表媒体数の合計値の差は4倍以上」にあるとも分析する.
自治体行政を観察する立場からは,非常に有益な情報が多い取組である一方,都道府県側としては,公表を通じて「プライム(先行刺激)」となり,他の市町村における公表への「活動が促進される」「プラミング」*3効果を期待されているように考えられなくもない.ただ,その場合,公表を通じて,他の市町村においても公表していない項目が思いのほかあるとも解され,「集団的保守主義」(97頁)や,更には,「非公表」の選択へと行動する蓋然性も低からずあるとも考えられそう.同公表を通じた,同県内に位置する市町村の公表への取組状況については,要観察.

*1:岩手県HP(地域振興部市町村課くらべてみよう! あなたのまちの台所事情)「市町村の行財政情報の公表状況について

*2:岩手県HP(地域振興部市町村課くらべてみよう! あなたのまちの台所事情市町村の行財政情報の公表状況について)「平成20年度 市町村の行財政情報の公表状況について」

*3:リチャード・セイラー,キャス・サンスティーン『実践行動経済学』(日経BP社,2009年)115〜116頁

実践 行動経済学

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