熊本市は17日、政令指定都市移行を目指し、区制の施行準備や国・県との協議に当たる推進本部(本部長・幸山政史市長)を設置した。移行目標は、2012年4月1日とした。
 同市と城南、植木両町の議会が合併議案を可決。政令市の人口要件「70万人程度」を超える約72万8千人の新市が10年3月23日に発足する見通しとなったのを受けた。初会合で幸山市長は、全職員が一丸となって移行準備を進めるよう各局長らでつくる本部メンバーに要請、今後のスケジュールを確認した。
 政令指定都市推進本部には▽国との移行協議などに携わる「総務」▽県との事務移譲協議に対応する「権限移譲」▽区制度の在り方を検討する「行政組織」▽都市ビジョンづくりを進める「政令指定都市ビジョン策定」▽行政システムを準備する「情報システム」−の5つの専門部会を設置。各局ごとの作業部会を通じて移行準備を進める。都市づくりの方向性を盛り込んだ政令市ビジョンは本年度から1年程度かけて策定。今秋にも県市連絡会議(仮称)を設け、県からの移譲事務項目を決める。区制度については専門部会で区役所の組織体制や必要人員などを詰める一方、区割りや区名、区役所位置は有識者などでつくる「行政区画等審議会」を新設し、検討する。会合後、政令指定都市推進室に推進本部の看板を掲げた幸山市長は「政令市はあくまで地域を元気にする手段。ここで暮らす住民の方々が今まで以上に豊かさを実感できるような政令市を目指したい」と意欲を示した。

同記事では,熊本市において,政令指定都市移行に向けた推進本部を設置したことを紹介.2009年6月30日付の本備忘録において取りあげた城南町,植木町における同市との合併に向けた審議後,2009年7月14日には,同市議会において,「廃置分合議案など合併関連7議案」について「賛成45,反対3」*1との結果を受けて,同市長は「全庁的な推進組織を発足させる考え」が示されており,その具体化が同記事.
同市の政令指定都市への移行に関しては,同市が位置する熊本県が明確に「必要である」*2との見解が示されている,同種の移行事例と比しても,一見する限りは両者の間での「安定的」な「均衡」関係が保たれているとも整理できそうな事例.今後,同本部と同県との間での具体的な協議過程において,これまでの取組における「埋没原価」との調整,「埋没資産」と「のれん」の獲得を通じた「安定的な目的を維持」*3された関係から,政令指定都市への移行という目的を達成するかは.要経過観察.

*1:西日本新聞(2009年7月14日付)「熊本市議会が合併議案可決 昇格へ全庁的組織 幸山市長 17日に知事へ届け出

*2:熊本県HP(県政情報道州制・市町村合併・地域情報)「熊本市の政令市移行の必要性」:政令指定都市制度について

*3:ハーバード・A.サイモン『経営行動』(ダイアモンド社,1989年)154頁

経営行動―経営組織における意思決定プロセスの研究

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