【宇都宮】市街地などでポイ捨てされたごみの量は、市条例でポイ捨てと路上喫煙に過料を科すようになった今年4月に前月比4割減となったが、その後増加傾向にあることが市の調査で分かった。ごみの約7割は吸い殻や包装紙などのたばこ関連。喫煙行為に過料が科せられるエリアの外で増加する傾向があり、市は対策を検討している。
 市廃棄物対策課は08年6月から毎月1回、中心市街地など6カ所で、設定区域内のすべてのごみを拾ってその個数を数える定点調査を実施。条例による効果を検証している。調査結果によると、おおむね2千個台で推移していたごみの数は、過料を開始した4月に1212個となり、3月の2030個から約4割減少した。しかしその後じわじわと増加。8月には1682個となり、3月以前の水準に近付いている。
 調査地点ごとにみると、路上喫煙に過料が科せられるエリア内では低水準を維持しているが、それ以外では"揺り戻し"が起きている。同課は「喫煙者が喫煙過料エリアを避け、非過料エリアに移動して喫煙とポイ捨てを行っている」と分析する。ごみ全体に対するたばこ関係ごみの比率は、ほぼ7割程度で変化がなかった。同課は「条例指導員が重点的に巡回するエリアや時間帯を設定するなど、対策を検討していく必要がある」としている。

同記事では,宇都宮市における,不当要求等の対応マニュアルを作成されたことを紹介.同記事で紹介されている「市条例」としては,「みんなでごみのないきれいなまちをつくる条例」及び「路上喫煙等による被害の防止に関する条例との関係」.両条例については,同市HPを参照*1
前条例では,第15条において「美化推進重点地区」を定め,同地区での「収納容器等の適正処理」(第16条)に「違反した者に対し,違反を是正するための警告を発」(第17条)し,その「警告を受けたにもかかわらず」「違反を是正しない者に対して」「2,000円の過料」が処されれる.また,後者の条例では,「禁止区域内において,路上喫煙等」(第6条)を行った場合,同条例第9条により2,000円の過料とある.後者については,「過料の適用状況」を,同市HPにおいて公表.2009年4月は42件,同年5月が54件,6月が54件,7月は51件と一定数の方が過料を処せられており,同記事にいう「低水準を維持」の効果も窺えそう.
ただ,同記事では,両条例が定める区域内では「低水準を維持」される一方,区域以外の地域では「増加する傾向」にあり,「揺り戻し」があったとも紹介.つまり,両条例において予期されたであろう区域内では,過料の実効性の実行性が高まった一方で,区域以外では,過料を回避して流入するという,結果的に「誘導」ともいえるような外部効果が観察されている.なるほど.
では,同現象を抑制するための「対策」をどうするのかということになるが,同記事でも紹介されている「指導員が重点的に巡回するエリアや時間帯を設定」する,いわゆる「ポリス・パトロール型監視(police patrol oversight)」*2の拡大も一つ.更には,両条例の仕組みが一定の効果があったとの認識に立てば,更に,対象区域の拡大を図る路線を選択することも一つ.ただ,過料等への「過剰な依存傾向」*3の懸念もなくはなく,更には,例えば,市域全域を指定した場合での,他自治体への区域へも押し出してしまうことも想定されなくない.その他の「対策」が考案されるか,要経過観察.

*1:宇都宮市HP(暮らし路上喫煙禁止・きれいなまち)「みんなでごみのないきれいなまちをつくる条例」,「路上喫煙等による被害の防止に関する条例

*2:北村亘『地方財政行政学的分析』(有斐閣,2009年)179頁

地方財政の行政学的分析 (大阪市立大学法学叢書)

地方財政の行政学的分析 (大阪市立大学法学叢書)

*3:北村喜宣『行政法の実効性確保』(有斐閣,2008年)325頁

行政法の実効性確保 (上智大学法学叢書)

行政法の実効性確保 (上智大学法学叢書)