県議会の検討会が議決条例を見直し、県実施計画「戦略計画」を議決対象にする動きを受け、野呂昭彦知事は二十九日、議会側に協議の場を設けるよう申し入れたことについて、「知事の予算編成権に触れることもあり、見過ごすことができない」と定例会見で語った。
 同検討会は議決対象を「計画期間が五年を超えるもの」と定めた現行条項を、県の全般的な計画については撤廃する方針。これにより、従来議決対象でおおむね十年先を見据えた県の総合計画「県民しあわせプラン」に加え、四年間の「戦略計画」も議決対象になる。野呂知事は「第二次戦略計画は先の知事選でマニフェスト政権公約)で示した公約を具体的に盛り込んだもの。それを議決対象にすれば、マニフェストを議会がコントロールすることになりかねない」と批判し、知事の予算編成権に触れることにもなるとした。併せて、議院内閣制の国の制度と大統領型といわれる直接選ばれる首長の選挙との違いを強調。「(制度の違いについて)どうしても混同が出てきたり、整理が難しい部分があるようで、基本に戻って議論をしていくことが大事」と、協議の場で議論する考えを示した。
 協議の場は、十一月上旬に開催の見通し。検討会の拡大版として、全員協議会形式で開き、知事と議会側が議論するという。日程や形式は、三十日の代表者会議で最終決定する。

同記事では,三重県において,「三重県行政に係る基本的な計画について議会が議決すべきことを定める条例」の改正に関する検討状況について紹介.
同条例第2条では,地方自治法第96条第2項をもとに,「計画期間が五年を超えるもの」に限定した上で,「議会の議決すべき事件とする」ことを定めている.具体的には「県行政全般に係る将来の目標を設定し,当該目標を達成するための施策,事業その他の手法を総合的かつ体系的に示した計画」と,同計画以外にも,「法令又は他の条例に定めのあるものを除」き,「県行政の基本的な施策に係る計画」*1がその対象とされている.同県では,同県の「総合計画」である『県民しあわせプラン』*2が対象となるなかで,同記事によると,同条例を改正され,実施計画と位置付けられている「第二次戦略計画」*3もまた,その対象とすることについて,同県議会において検討されている模様.
同条例に関する検証は,2009年8月5日付の本備忘録で触れた,同県議会に設置された「議員提出条例に係る検証検討会」において,2009年7月17日に開催された第21回*4が検証開始.同回同検討会の配布資料を拝読すると,同条例施行後,同条例に基づき「計4本の計画が議決」(6頁)された状況を踏まえると,同検討会としては「施行の結果として,この条例に基づく審議及び議決の対象となる計画は少なかったところ」と認識されている.そして,「これについては,制定当時に想定されたこの条例の趣旨が十分に活かされのかという視点から検討する必要があるのではないか」(11頁)との方向性が示された.その後,2009年10月15日に開催された第27回*5まで,同条例に関する審議が進められており,第27回では,「座長まとめ」が示され,同条例第2条第2項に関して「県行政における基本的な政策に係る中長期的な目標を設定し,当該目標を達成するための施策,事業その他の手法を総合的に示した計画であって,県行政において特に重要な計画であると認められるもの」(2頁)とする内容が示されている.議会議決の対象となる対象の質的な明確化が図られることで,審議の量的増加が想定されている模様(同検討会の資料は,大変勉強になります).
同記事で紹介されている知事記者会見における発言内容は,現在までには公開されていないため,その趣旨や文脈確が認ができない(残念).ただ,「予算編成権」への抵触との発言の趣旨は,地方自治法第96条第1項第2号との関係はどのようになるのだろうか,要確認.