県庁の受動喫煙被害の防止策を考えるために県が設置した有識者らの「県庁舎の受動喫煙防止検討会」(座長=森田陽子・徳島文理大教授、11人)が29日、県庁で初会合を開いた。厚生労働省が今年2月に出した通知では「官公庁は全面禁煙が望ましい」とされたが、検討会では分煙、禁煙の両主張で議論が白熱。8月をめどに飯泉知事に提言することにした。
 県によると、県職員の喫煙者は男性27・8%、女性6・1%で、全体では19・9%。主な県庁舎では、建物、敷地とも禁煙の「敷地内禁煙」を行っているのが、美馬保健所など4施設。建物内だけ禁煙の「庁舎内禁煙」が、工業技術センターなど4施設。本庁など9施設は、建物内に喫煙室を設けるなど分煙にとどめている。
 全国的には、大阪府が敷地内禁煙、高知県や神奈川県など19道府県が庁舎内禁煙に取り組んでおり、徳島は“後進県”の一つ。検討会では、一部の委員から「外に煙が漏れないような、しっかりした分煙室を設ければ何ら問題ない」「受動喫煙するとみんなが病気になるように言われるが、たばこを吸って100歳以上生きている人もいる」などと分煙を主張する意見が出て、議論が白熱。「ドアを開け閉めするだめでも煙が漏れるのに、全く煙りが漏れない喫煙室なんて、大変な費用がかかる」「受動喫煙の被害は個人差がある。子どもや妊婦、たばこを吸うのが嫌という人もいる。全面禁煙は世界の流れ」と反論が相次いだ。次回は5月下旬頃開かれる。

本記事では,徳島県における庁舎内の受動喫煙に関する検討会が開催されたことを紹介.同検討会の詳細を確認させていただこうと,同県HPを拝見させていただくも,現在のところ,把握できず,残念.公開後,要確認.
2010年2月25日に厚生労働省健康局長から提示された通達「受動喫煙について」.同通知自体が有する効力は「曖昧な構造」*1であるかは判然とはしないものの,「多数の者が利用する公共的な空間については,原則全面禁煙であるべき」「少なくとも官公庁や医療施設においては,全面禁煙とすることが望ましい」*2と言及されている.
2010年3月27日付の毎日新聞では,多治見市において「公共施設敷地の全面禁煙は東海地方では初めて」の取組として,「市内の全公共施設の敷地」を2010「年10月1日から全面禁煙」とすること,ただし「試行期間中,庁舎内に現在8カ所ある喫煙スペースは屋上の1カ所のみ」*3とする方針であることを紹介.一方で,2010年3月7日付の中日新聞では,長野県において,同庁舎では「2004年12月」に「前知事が敷地内での全面禁煙」としたものの,「1年後には県庁北側に喫煙ボックスを設置」,現知事のもとでは20「06年9月から」「この喫煙ボックス内を含め,県庁の敷地内3カ所」を設置されており,「分煙をきちんとすることで十分との立場」*4との認識にあり,現状維持の判断も紹介されている.
本記事では,庁舎という空間整序に関する検討において,有識者による諮問機関の設置により審議が図られることを紹介.確かに,諮問機関を通じた「インテリジェンス機能」*5の役割もまた期待はできそう.ただ,厚生労働省による「国民健康栄養調査」に基づく「成人喫煙率」の集計結果*6からは,2008年度における「日本人の喫煙率は21.8%」と「年々減少」するなかで,同県庁内の喫煙割合に応じた,庁内における喫煙者と非喫煙者から構成される「参加の場」*7を設けた審議を通じた「現状打破集合」*8の選択が穏当であるようにも考えられなくもない.本記事において,「19道府県が庁舎内禁煙」と紹介された道府県では,同取組の導入に際しては,どのような検討体制を通じて,導入されたのだろうか.

*1:宮脇淳『創造的政策としての地方分権』(岩波書店,2010年)38頁

創造的政策としての地方分権――第二次分権改革と持続的発展

創造的政策としての地方分権――第二次分権改革と持続的発展

*2:厚生労働省HP(厚生労働省法令等データベースサービス登載準備中の新着通知(健康局))「受動喫煙について」(健康局長,健発0225第2号,平成22年2月25日)2頁

*3:毎日新聞(2010年3月27日付)「岐阜県多治見市:市内の全公共施設 10月から全面禁煙に

*4:中日新聞(2010年3月7日付)「【長野】庁舎内は分煙徹底 厚労省が全面禁煙通知

*5:今村都南雄『行政の理法』(三嶺書房,1988年)95頁

行政の理法

行政の理法

*6:財団法人健康・体力づくり事業財団HP(厚生労働省の最新たばこ情報統計情報)「成人喫煙率(厚生労働省国民健康栄養調査)

*7:長野基「自治体政策過程における都市計画審議会の機能の分析」『年報行政研究44 変貌する行政』(ぎょうせい,2009年)162頁

変貌する行政―公共サービス・公務員・行政文書 (年報行政研究)

変貌する行政―公共サービス・公務員・行政文書 (年報行政研究)

*8:ジョージ・ツェベリス『拒否権プレイヤー 政治制度はいかに作動するか』(早稲田大学出版会,2009年)27頁

拒否権プレイヤー 政治制度はいかに作動するか

拒否権プレイヤー 政治制度はいかに作動するか