【宇都宮】民間オペレーターが市税などの新規滞納者に電話で納付を呼び掛ける納税催告センター。昨年9月の設置から半年間で、対象滞納額約2億8千万円のうち5千万円強を確保できたことが市のまとめで分かった。現年度課税分の新規滞納者の割合は2009年度3・6%で、前年度比0・5ポイント減少。市は新規滞納者の抑制は早期対応に効果があるとみており、引き続き滞納者への接触頻度を高めていく。
 市納税課によると、市民税や固定資産税、国民健康保険国保)税など現年度課税分の滞納件数は今年3月末現在で約6万1千件。このうち滞納者の電話番号が判明したのは約4万件(66・1%)で、実際に滞納者と電話接触できたのは約1万件(26・5%)、納付約束を取り付けたのは約2600件(25%)だった。対象滞納額約2億8千万円のうち実際の納付額は市税、国保税を合わせ約5100万円(1・8%)。目標1億3千万円の約4割を半年間で確保した。
 センターは祝日と第1、3日曜を除き、1日計4人のオペレーターが滞納者に電話やはがきなどで納付を呼び掛けている。民間業者に委託する形で運営されており、本年度委託料は約2300万円。これまでの市職員に代わりオペレーターが催告業務に専念することによって、納付期限を過ぎて滞納者に早期対応でき、接触の範囲が広がる効果もあったという。
 市納税課は「新規滞納は『うっかり忘れた』や『仕事が忙しかった』などが理由で、早期の対応で納付してもらえることが多い。センター設置の効果は表れている」。課題として電話をかける時間によって滞納者との接触頻度に差があることから、今後はセンターの開設時間を変更するなどし、頻度を高めていく方針。

本記事では,宇都宮市に設置された「納税催告センター」を通じた市税等の滞納者への納付の呼び掛けの取組を紹介.同センターの詳細に関しては,同市HPを参照*1
「市税等収入の確保と収納率の向上」を目的として,2009年「9月1日」から,「現年度分滞納者」に対して「早期に納税の呼び掛け」を「徴収業務の専門的な技術を有する民間事業者を活用」」*2しつつ開設された同センター.まずは,同市より「納期限を過ぎて督促状を送付」された後に,「納付のない人」に対して,同センターの「専門のオペレーターが電話による未納通知と納付勧奨」を実施.あわせて「電話のつながらない人に対しては,催告文書を発送」されている.「開設日時」は,「月・水・金曜日」が「午前9時から午後5時まで」,「火・木曜日」は「正午から午後8時まで」,そして,「休日(月2回)」では,「午前9時から午後5時」*3に開設されている,という.本記事によると,同事業への「委託料」は「約2,300万円」.
本記事を拝読すると,同センターを通じて,同市における「滞納件数」が2010年「3月末現在で約6万1千件」とされるなかで「滞納者の電話番号が判明したのは約4万件(66・1%)」中,「実際に滞納者と電話接触」できた方は「26.5%」,「納付約束を取り付けた」の「25%」,そして,「対象滞納額約2億8千万円のうち実際の納付額は市税,国保税を合わせ約5100万円(1.8%)」であることが分かり,実数的には,一定の効果がある取組の模様(同センターを用いていない場合(同市職員により実施されていた時)の「機会費用*4との対比も可能そうですね).
ただ,「電話接触」が可能となった「滞納者」のうち,「不知」*5による「善意の違反者」*6に対しては,同センターを通じた「呼び掛け」という,いわゆる「心理的方策」*7を通じて,一定の効果があったとも想定ができそう.一方で,同「呼び掛け」が,いわゆる「確信犯」*8においてもまた同様の「行動変容」*9的な「滞納者」に対しても,同センターの「呼び掛け」が効果をもたらしているのだろうか.「滞納者」の性質的分類に基づく「行動変容」に関しても,お話を伺ってみたいなあ.

*1:宇都宮市HP(税金納税について納期限内で納められなかった場合)「宇都宮市納税催告センターを開設しました

*2:前掲注1・宇都宮市(宮市納税催告センターを開設しました)

*3:前掲注1・宇都宮市(宮市納税催告センターを開設しました)

*4:吉本佳生『出社が楽しい経済学』(NHK出版,2009年)25頁

出社が楽しい経済学

出社が楽しい経済学

*5:森田朗『許認可行政と官僚制』(岩波書店,1988年)63頁

許認可行政と官僚制

許認可行政と官僚制

*6:クリストファー・フッド『行政活動の理論』(岩波書店,2000年)63頁

行政活動の理論 (岩波テキストブックス)

行政活動の理論 (岩波テキストブックス)

*7:藤井聡社会的ジレンマの処方箋』(ナカニシヤ出版,2003年)23頁

社会的ジレンマの処方箋―都市・交通・環境問題のための心理学

社会的ジレンマの処方箋―都市・交通・環境問題のための心理学

*8:前掲注6・クリストファー・フッド2000年:67頁

*9:前掲注7・藤井聡2003年:36頁