森町で議員定数と議員報酬の削減を巡って、佐藤克男町長と議会の対立が深まっている。佐藤町長は23日、8割の町民が「定数12、報酬20%」とする町の案に賛成しているとの住民アンケート結果を公表したが、野村洋議長は「回収率が約2割と低いうえに、回答を誘導するような内容だ」と反発。6月議会で改正した条例で来年4月の統一地方選に臨む姿勢を示した。
 森町議会の定数は現在22。佐藤町長は4月、アンケート内容と同様の削減案を議会に要望したが、町議会は特別委員会で次回選挙から定数を16とする条例改正案を可決した。議員報酬も暫定措置として7・7%の引き下げを決めている。これに対して町が実施したアンケートでは「定数12」への賛成が二者択一で80%、「報酬20%減」への賛成が81・3%に上った。用紙は広報と一緒に全戸配布され、回収率は21・7%だった。
 佐藤町長はこの日の会見で「給与を10〜18%削減している町職員とのバランスを考えると削減が必要」と主張。友好町の静岡県森町は人口が1000人多いにもかかわらず定数が12であることも例に挙げ、さらなる削減を議会側に求めた。一方、野村議長は「(結果に)疑問を持っている」としたうえで現時点ではこれ以上の条例改正はしない姿勢を強調。一部議員からは、アンケートに40万円の町費を使ったことに疑問の声も出た。【近藤卓資】

本記事では,森町における議員定数及び議員報酬に関する住民アンケート調査の集計結果を紹介.
2010年8月13日付の本備忘録でも取り上げた,同町による同調査の取組.単純集計の結果が報告された模様(早いですね).本記事を拝読すると「回収率は21.7%」,「定数12」の選択肢への回答率が「80%」,「「報酬20%減」への賛成」が「81.3%」との結果であった,模様.同調査の結果に関しては,現在までのところ,同町HPでは公表はなされていない模様,残念.公表後,要確認.
同調査における議員定数関する選択肢に関しては,2010年8月13日付の本備忘録にて記録した経緯からも,「12」又は否かという「二者択一」式を採用され,同選択肢では,同議会の議員定数として定められる「全部の選択肢を全体でカバー」*1されたものではなかった模様.ただ,本記事にて紹介されている同調査結果への「疑問」を明らかにするためには,調査の設計を始めとする「正しい検証」*2を経た,「根拠が明確な政策と実践」(evidence-based poliy and practice)*3を,議会側においてもまた行うことが,同町の定数を巡る「対立」への,住民にとっての「鑑別基準」*4となりそうか.

*1:谷岡一郎『データはウソをつく』(筑摩書店,2007年)131頁

*2:前掲注1・谷岡一郎2007年:145頁

*3:Sandra M. Nutley(2007)Using Evidence: How Research Can Inform Public Services,The policy press:13.

Using Evidence: How Research Can Inform Public Services

Using Evidence: How Research Can Inform Public Services

*4:金井利之「首長と議会の対立を超えて」『ガバナンス』No.112,2010年8月,22頁

ガバナンス 2010年 08月号 [雑誌]

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