広島県は、職員の人事評価制度の見直し業務を民間委託することを決めた。外部の視点から現行制度の課題を洗い出してもらうのが狙い。年内に業者から報告書を受け、来年度からの新制度策定に生かす。
 公募で選んだ委託先は、経営コンサルティングのヘイコンサルティンググループ(東京)。県が人事評価制度の見直しを民間委託するのは2001年度の制度導入以来、初めてとなる。現行制度は、上司が部下を原則年2回の面接で評価する方式が柱。管理職は、上司とともに目標設定して達成度を評価する方式も併用する。同社は今後、職員アンケートをするほか、民間企業や他の自治体の制度と比較し、現行制度の課題と改善策を提案する。

本記事では,広島県において人事評価制度の見直し方針があることを紹介.本記事後段でも紹介されている同県の現行の人事評価制度(勤務評定)に関しては,同県HPを参照*1
同県の「知事部局」職員に対する「勤務評定」制度は,「被評定者」は,「本庁の局長,部長及びこれに準じる者」,「臨時的任用の職員」,「非常勤職員(再任用短時間勤務職員を除く)」,「その他知事が勤務評定の実施を不適又は不必要と認める職員」となり,「評定者」は,「評定者は,日常,直接職員と接して,職員を掌握し,職務遂行について職員を管理監督している者」となる.同評価者は「毎年3月31日を基準日」として,「前回の定期勤務評定の評定基準日から当該定期勤務評定の評定基準日の前日まで」の「評価期間」において,「勤務実績評定は,職員が割り当てられた職務と責任を遂行した実績を評定する」こととなり,その構成は,「評定要素に基づいて評定する分析評定と,職員の勤務実績を総合的に評定する総合評定」に基づき実施される.「職員が属する所属長の能力」*2に依拠する部分も大きそう.
一方で,同県の『平成21年度広島県人事行政の運営等の状況』を拝読させて頂くと,同制度では,「人事評価の結果を職員の人材育成に結び付け,組織の活性化につなげていくためには,職員から信頼される人事評価制度の構築が必要」*3との認識が示されている.現行の勤務評定では,「信頼」取得には十分ではなかった,との認識なのだろうか.
「一所の執務空間」*4の中で勤務される職員の方々へにとっては,その「働きぶりを見る目線」*5という,「眼差と配慮」*6を通じた,人物評価への「相場」*7という「評価がある」*8とすれば,人事評価制度から得られた結果とその相場の歩み寄りの方策が課題となるのだろうか.考えてみたい.

*1:広島県HP(県政情報・統計広報広聴・情報公開職員の給与・職員数等広島県人事行政の運営平成21年度広島県人事行政の運営等の状況について)「人事行政の運営等の状況」(広島県,平成21年11月)38頁

*2:稲継裕昭「人事評価と給与」『ガバナンス』No.11,2010年9月号,25頁

ガバナンス 2010年 09月号 [雑誌]

ガバナンス 2010年 09月号 [雑誌]

*3:前掲注1・広島県(人事行政の運営等の状況)43頁

*4:大森彌『官のシステム』(東京大学出版会,2006年)73頁

官のシステム (行政学叢書)

官のシステム (行政学叢書)

*5:中村圭介『実践!自治体の人事評価』(ぎょうせい,2007年)20頁

実践!自治体の人事評価―「評価される側」からのアプローチ

実践!自治体の人事評価―「評価される側」からのアプローチ

*6:前掲注1・大森彌2006年:67頁

*7:前掲注1・大森彌2006年:67頁

*8:金井利之『実践自治行政学』(第一法規,2010年)258頁