秋の観光シーズンの渋滞緩和に期待されている奈良市役所駐車場の「パーク&ライド」の利用が、例年の半分以下に低迷している。平城遷都1300年祭の主会場向けに実施された同様の取り組みの利用者を「誤誘導」しないよう、宣伝が自粛された影響らしい。
 市交通政策課によると、観光シーズンの春と秋は市中心部への車の流入量が急増する。特に今秋は平城遷都1300年祭と正倉院展が重なり、平日でも多くの車が詰めかけた。兵庫県三田市から車で訪れた女性(63)は「毎年来ているが、今年はすごい。通常は、第二阪奈道路を降りてから奈良公園まで20分なのに1時間もかかった」とうんざりした様子。渋滞緩和のため、市は1999年から、市役所駐車場(180台)を春と秋に無料開放。そこから、バスなど公共交通機関や無料のレンタサイクルに乗り換えてもらっている。日祝に加え、今年度から土曜も実施した。
 しかし、今秋期間(10月9日〜11月28日)の利用台数は1日平均23台(10月末現在)と、例年の50〜60台の半分以下。同課は雨が多かったことに加え、例年なら国道24号と大宮通りの二十数カ所に設置してきた誘導看板を置かなかったためとみる。看板を設置しなかったのは、遷都祭を主催する記念事業協会から自粛を求められたためだ。(寺本大蔵)

本記事では,奈良市におけるパークランドライドの取組状況を紹介.同取組は,同市HPを参照*1
「観光シーズンにおける奈良公園周辺の交通渋滞を緩和する」ことを目的として,「平成22年10月9日から11月28日までの土曜日・日曜日・祝日」の「午前9時から午後5時まで」において,同「市役所駐車場でパークアンドライド」を「実施」.同「駐車場」の「駐車台数」は「180」台.駐車後の移動としては,「奈良公園方面へは路線バス」と,「大人用130台」「子供用20台」の「無料レンタサイクル」*2の利用を促されている.
一方で,本記事を拝読すると,本年度の利用は「例年の50〜60台の半分以下」となり,「例年」「二十数カ所に設置」されてきた「誘導看板を置かなかった」ことがその要因との認識が示されている.同市の「中心部」においても,本年度は,例年に比して渋滞されたのだろうか.渋滞状況に本年度は場合,訪問者は「共有地の悲劇」にあるとも考えられなくもない.ただ,その場合には,誘導看板という選択肢を置かなかったことで,同地域への訪問者にとっては,結果的に「多すぎる選択肢」*3となり,同市役所駐車場によるパークアンドライドを「選択」されなかった,とも整理ができそうか.

*1:奈良市HP(組織でさがす企画部交通政策課お知らせ)「奈良公園の観光にパーク&ライドで

*2:前掲注1・奈良市([奈良公園の観光にパーク&ライドで)

*3:シーナ・アイエンガー『選択の科学』(文藝春秋,2010年)

選択の科学

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