県生活衛生課は、フグ処理師向けの解説DVDを制作した。昨年十月から「ふぐ取扱い条例」を施行したのに伴い、制度の理解を深めてもらう狙い。四日から各厚生センターで無料貸し出しの受け付けを始める。
 DVDは計三十二分で、(1)フグ毒(テトロドトキシン)がヒトにどのような症状をもたらすかなど食中毒と予防法(2)条例の概要(3)フグの種類の鑑別(4)実技編としてフグの有毒部位の除去−の四本柱。百枚を作製した。条例制定のきっかけは、南砺市城端のすし店で一昨年十一月に発生した食中毒。有毒部位に指定されている肝臓入りの鍋が原因で客十二人にしびれなどの症状が現れ、うち二人が一時意識不明の重体となった。富山地検は昨年末、男性店主(62)を業務上過失傷害罪で略式起訴した。この食中毒から制度の厳格化を求める声が上がり、県は条例でフグをさばく資格の取得について講習制から免許制に移行。免許所持者には、フグに関する最新の情報を紹介する講習会を五年に一度を目安に開く。(山田晃史)

本記事では,富山県において,フグ処理師に向けの解説用DVDを制作されたことを紹介.本記事にも報道されているように同県内での食中毒後には,2009年12月12日付の本備忘録でも記した同県におけるフグ取扱者への講習を実施され,更に,,2010年6月23日には「富山県ふぐの取扱いに関する条例」*1を制定し,同年10月1日から施行されている.「免許は資質や一定の行為の事前チェックであるため,免許後の行為については必ずしも十分なコントロールが及ば」*2ないとされるなかで,同条例第9条では「ふぐ処理師は,5年ごとに知事が行うふぐの取扱いに関し必要な知識を修得させることを目的とする講習会の課程を修了するよう努めるものとする」とも規定されて,同規定を踏まえての同DVDを制作された模様.
同条例では,「調理師法第2条に規定する調理師」であり「ふぐ処理師の立会いの下にその指示を受けて2年以上食用のふぐの処理に従事した者」(第13条)が,「知事」が実施する「ふぐ処理師として必要な知識及び技能」に関する「ふぐ処理師試験」(第12条)を受験し,「知事の免許」を受けることができる.ただ,同条例第3条第2号では「前号に掲げる者」,「ふぐ処理師試験に合格した者」のこと,は「同等以上の知識及び技能を有する者として規則で定める者」も「知事の免許」が受けることができるともある.果たして,後者の「知識及び技能」はどのような「事前チェック」が実施されているのだろうか.興味深い.

*1:富山県ふぐの取扱いに関する条例」(平成22年6月23日,富山県条例第18号)

*2:森田朗『許認可行政と官僚制』(岩波書店,1988年)78頁

許認可行政と官僚制

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