福島第1原発の事故を受け、福岡県糸島市は25日、原子力防災について専門知識をもった人材を嘱託職員として採用する方針を明らかにした。同県内の市町村で原発事故に備え、専門家を配置するのは初めて。
 糸島市はかなりの部分が玄海原発佐賀県玄海町)から半径30キロ圏内に入り、住民が不安を抱いている。このため市は原発事故に備え地域防災計画を見直し、避難計画をまとめるには専門家の力が必要と判断した。市によると、原発の設計や管理・維持などに携わったメーカーの技術者OBを想定。5月から募集を開始し、7月に1人採用する。市民に対し専門知識に基づいた講座も実施するという。また同市は九州大学の支援を受け、津波ハザードマップ(災害予測図)作成にも着手する方針。地理的なデータを踏まえてシミュレーションした、より実用的なマップをつくり、避難場所や避難ルートの設定に役立てるという。

本記事では,糸島市における委嘱職員の採用方針を紹介.
同市では,2011年4月8日に,九州電力に対して「玄海原子力発電所の安全確保等に関する要望書」を提出された際,「安全性の確保」とともに同社からの「説明責任」と「情報提供」*1を求められてはいるものの,いわば受動的な情報摂取な体制にあるとの判断からか,本記事を拝読させて頂くと,同市としても「原子力防災」に関する「専門知識」をもつ方を「嘱託職員として採用」される方針とのこと.いわゆる「科学委託」*2により,同市の地域防災計画の改訂等に際して「役立てる」ことを想定されている.これにより,専門性の高い「局所的な情報ネットワーク」*3へも,能動的な接続が可能ともなりそう.
ただ,本記事を拝読させて頂くと「原発の設計や管理・維持などに携わったメーカーの技術者OBを想定」されつつも,「5月から募集を開始」と募集されるようでもある.2010年7月1日付及び同年7月5日付同年9月20日付の各本備忘録でも言及した,現行職員体制との「専門能力の非対称性」への対処は,どのように整備されるのだろうか.同採用方針の詳細に関しては,現在のところ,同市HPには掲載されていないようであり,公開後,要確認.

*1:糸島市HP(東日本大震災の被災地への支援活動)「九電に玄海原子力発電所の安全確保等に関する要望書を提出

*2:立石裕二『環境問題の科学社会学』(世界思想社,2011年)81頁

環境問題の科学社会学 (関西学院大学研究叢書)

環境問題の科学社会学 (関西学院大学研究叢書)

*3:城山英明「情報活動」森田朗編『行政学の基礎』(岩波書店,1998年)281頁

行政学の基礎

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