鹿児島県屋久島町は14日、屋久島の自然や生態系を保護するため、縄文杉周辺などに立ち入る観光客数を制限する条例案を議会に提出した。23日に可決される見通しで、2012年度に試行、13年度に本格導入の方針。
 条例案は「特に保護措置が必要な自然観光資源」として(1)縄文杉に至る「大株歩道」周辺の自然植生(2)永田浜のウミガメ(3)島の西部地域の生態系と歴史的資源−の3区域を指定。立ち入りには、町長の承認証の交付を必要とする。手数料は1人当たり400円。また町職員の指示に従わず縄文杉周辺でサルやシカに餌を与えたり、永田浜で5−8月の夜に点灯して写真撮影したりすると、罰則(罰金30万円以下)もある。制限する人数や期間は専門家などでつくる協議会で検討。縄文杉周辺は通年で1日420人の案がある。
 日高十七郎町長は「条例の狙いはピーク時の人数分散。今以上のトイレ増設や登山道拡張は世界遺産として適切でないと考えた」と話した。環境省屋久自然保護官事務所によると、縄文杉周辺の入山者数はここ3年、年約9万人で推移。千人以上訪れる日もある。

本記事では,屋久島町における,同町の自然及び生態系の保護に関する条例案の同町議会へ提出について紹介.観光客の立ち入り制限を規定されるという,極めて「ハードな戦略」*1を規定された条例案を同町議会へ提出された模様.同条例案の概要に関しては,同町HPを確認させて頂くものの,現在のところ把握できず.公表後,要確認.
本記事を拝読させて頂くと,「3区域を指定」され,「立ち入り」に際しては「町長の承認証の交付を必要」とし,その交付「手数料」として「1人当たり400円」を求める内容.あわせて,禁止行為を定め,あわせて罰則も定められている模様.ただし,具体的な制限期間と人数に関しては別途「協議会で検討」されるととあり,2011年6月15日付の日本経済新聞の報道にもあるように,「縄文杉」に関しては「3月1日から11月30日の間」として,本記事でも紹介されているように「1日420人に制限する案が有力」*2とのこと.本記事では「23日に可決される見通し」と報道はされてはいるものの,上記日本経済新聞では「23日に採決」と採決の予定日のみを報道し,2011年6月15日付の毎日新聞では「23日の最終本会議で採決される予定」ではあるものの「登山客を3分の1に抑えること」へ「町議や観光関係者の間」からも「慎重論も強」いとして「原案通り可決されるかは不透明」*3とも報道されている.「自然破壊」に対しては「ネガティブ・インセンティブ」としての「価値喪失に対しての課徴金賦課」*4制度も議論として想定されなくもない.しかし,現状回復が困難であることが想定されれば,まずは立ち入り制限をされた同条例案も興味深そう.審議及び成立後の実施状況は,要経過観察.

*1:松井望「政策の決定と実施」首都大学東京都市教養学部都市政策コース編, 和田清美監修『逆発想の都市政策』(ぎょうせい,2011年)147頁

逆発想の都市政策

逆発想の都市政策

*2:日本経済新聞(2011年6月15日付)「縄文杉、観光客数を制限 屋久島町が条例案提出

*3:毎日新聞(2011年6月15日付)「屋久島:自然保護で登山客制限も 23日に条例案採決

*4:北村喜宣『環境法』(弘文堂,2011年)153頁

環境法

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