大和市が昨年秋に実施した事務職員採用試験(大卒程度)の合格者23人のうち9人が採用を希望しながら、12日現在も採用されていないことが分かった。実際の退職者数が、市の予測を下回ったため。合格発表から1年に当たる今年11月25日までに採用されないと、新たに試験を受け直す必要があるという。
 市によると、試験は昨年9月に実施。11月26日に合格発表した。市は退職者が決まるたびに、成績上位者から採用を開始。これまでに13人が採用され、1人が辞退した。例年、自己都合で20人ほどが退職するが、本年度は4月以降、3人にとどまり、見込み違いの最大の要因になったという。合格者からは「いつ採用されるのか」「採用されるのかどうか教えてほしい」といった問い合わせが寄せられているという。市の職員数は現在1823人(消防、病院含む)。市人財課は「募集要項にも合格と採用は違うと記載している。制度上、このようなことが起きてしまう」と説明している。

本記事では,大和市における職員採用の取組を紹介.
2010年度に実施された「職員採用試験」の「実施状況」*1を拝読させて頂くと,9月に実施された「事務(大卒程度)」区分への「職員採用試験」に対しては「1385」名の募集があり,第一次試験では「1256」名が受験し「314」名が合格,第2次試験は「295」名が受験し「70」名の合格,「第3次試験」では「69」名が受験をし 本記事でも紹介されている「23」名の最終合格者に選抜されている.
同月実施の同区分での合格率は「54.6」倍であり,6月実施分の合格率「22.5」倍とあわせると,近年の同市の倍率が,平成14年度では37.1倍*2,平成15年度が56.0倍,平成16年度が37.1倍,平成17年度が25.7倍*3,平成18年度は6月と10月に試験を2回実施されており,それぞれ8.6倍と15.2倍,平成19年度は7.8倍と11倍*4,平成20年度は,16.3倍と30.9倍*5,平成21年度が47.0倍と23.4倍*6であったなかでも,過去8年間で最も高い倍率.本記事を拝読させて頂くと,9月に実施された「事務(大卒程度)」区分での「合格者23人のうち9人が採用」に至っていないとのこと.
昇任のみならず採用もまた「退職者数という要因に左右」*7されるため,2010年8月11日付同年10月3日付同年12月10日付同年12月29日付2011年1月31日付の各本備忘録で記録した,合格数者数と採用者数との間で生じる「ディレンマ」*8.合格された方々にとっては,極めて深刻であり,悩ましい現状.退職者数は,採用試験の段階ではどの程度まで予測可能性が確保できる/できないものなのだろうか.要確認.

*1:大和市HP(市政情報職員採用職員採用に関する情報)「平成22年度職員採用試験実施状況

*2:大和市HP(市政情報職員採用職員採用に関する情報)「過去の職員採用試験実施状況」3頁

*3:前掲注2・大和市(過去の職員採用試験実施状況):2頁

*4:前掲注2・大和市(過去の職員採用試験実施状況):1頁

*5:大和市HP(市政情報職員採用職員採用に関する情報)「平成20年度職員採用試験実施状況

*6:大和市HP(市政情報職員採用職員採用に関する情報)「平成21年度職員採用試験実施状況

*7:松井望「石原都政下の組織編成と人事政策」『都市問題』Vol.102,2011年6月,88頁

*8:手塚洋輔『戦後行政の構造とディレンマ』(藤原書店,2010年)24頁

戦後行政の構造とディレンマ―予防接種行政の変遷

戦後行政の構造とディレンマ―予防接種行政の変遷