大阪府は、橋下徹知事が意欲を見せる府咲洲庁舎(大阪市住之江区、旧WTC)への庁舎全面移転の成否にかかわらず、都道府県庁舎で現役最古の現在の本庁舎(同市中央区)を耐震補強する方針を決めた。
 大阪城に面し、映画の舞台にもなった正面玄関や、議場がある東館は残す一方、西館は取り壊す。補強範囲に応じ、74億円と60億円の2案に絞り込んでおり、いずれかを9月府議会に補正予算案として提出する。本庁舎は1926年(大正15年)に完成し、地上6階、地下1階建て計約3万4000平方メートル。3階まで吹き抜けの玄関ホールはイタリア産大理石があしらわれ、「白亜の大殿堂」と呼ばれる。重厚な建築様式から、ハリウッド映画「ブラック・レイン」(1989年)や公開中の「プリンセス トヨトミ」の撮影にも使われた。しかし、築85年で震度6強の地震で倒壊の恐れがあり、府の指針で2015年度末までの耐震補強が必要。工期から逆算すると、9月議会での予算計上が期限となっていた。

本記事では,大阪府における本庁舎の耐震補強工事に関する補正予算案に関して紹介.本記事を拝読させて頂くと,「耐震補強」により「正面玄関」「議場がある東館」は「残す」ものの,「西館は取り壊す」ことが基本的な方針とされ,補正予算では「補強範囲」に基づき,2案が,現在,検討されている,とのこと.
「柱や梁や壁を増やして耐震性能を向上させる」「いわゆる耐震補強」の「工法」によると,「壁や柱が暑くなったり太くなったり」あるいは「新しい壁がつくられてしまったり」するためめ,「原型を損なうことなく残し,安全性を確保するためには」「免震工法」が「都合のよい技術」*1ともされる.2008年12月7日付の本備忘録において項目立てを試みた本備忘録における妄想的・断続的観察課題のひとつ「庁舎管理の行政学」における「第1章:建築と維持のポリティクス」の観点からも,「オフィースビスの「実務性」」とともに「象徴性」*2も内包した同庁舎への,「保存」工法は,果たしてどのようになるのか,要経過観察.

*1:鈴木博之「記憶―建築保存は都市のお荷物か」鈴木博之東京大学建築学科編『近代建築論講義』(東京大学出版会,2009年)142頁

近代建築論講義

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*2:御厨貴『権力の館を歩く』(毎日新聞社,2010年)266頁

権力の館を歩く

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