東京都は八月一日から、クーラーがなく熱中症が心配される生活保護世帯に、クーラーの購入設置費として最大四万円を支給する。国の制度に不備があるためだとしている。独自にクーラーの購入費を支援するのは全国初だという。
 都によると、対象は、医師の指導で冷房機器が必要とされた六十五歳以上の高齢者がいる世帯。生活保護事業を担っている自治体に、購入設置にかかった費用を財政支援する。対象世帯は約七百世帯と推計している。国は今月十九日付で生活保護制度を改正。社会福祉協議会から貸付金を受けても、収入認定から除外され、実質的な負担なくクーラーが買えるようにした。しかし、貸し付けは年金など保護費以外の収入がないと受けられないため、保護費だけの世帯は改正の恩恵を受けられないという。

本記事では,東京都における生活保護世帯に対する冷房機器設置の取組を紹介.同取組に関しては同都HPを参照*1
同取組は,「平成23年7月19日付で生活保護制度の一部改正」され「年金など保護費以外の収入がある生活保護世帯」では「貸付金及び償還金の収入認定の取扱い」として,「実質的に自己負担なく冷房機器の購入が可能」とされたものの,「保護費以外の収入がない世帯は貸付が受けられない」ことから同「制度改正の効果が及ばないという状況」*2を踏まえてのもの.「資産保有の判断が問題」*3とされた頃に比べれば拡充しつつも,「制度上の矛盾」*4との現状認識からの都側の取組と要請.
具体的には,「国が制度の見直しを行うまでの間」に「区市が健康維持管理上の課題を有し,冷房機器の購入が必要と判断する被保護世帯に対し冷房機器購入経費を支給する場合」に「今年度限りの緊急措置として」「都が区市に対する財政支援」*5を実施.「原則として65歳以上の者」であり「医師の証明等」により「疾病のため継続して自宅療養が必要または身体障害等のため外出が困難で自室で過ごす必要がある」とともに「健康維持管理上,冷房機器が必要と指導された者」であり,「福祉事務所長等が認める者」に対して「支給上限額は一世帯当たり40,000円」を「1回限りの支給」されるとある.「国が制度の見直しを行うまでの間」と「今年度限りの緊急措置」との関係性が判然とはしないものの,厚生労働省の対応状況は,要経過観察.