成田市発注の道路改良工事の入札を巡る贈収賄事件を受け、市は8日、最低制限価格の公表を、従来の事後から「事前」に改めることを明らかにした。この日開かれた「収賄事件調査・再発防止委員会」の初会合で市が報告した。市は2009年9月から、一部の入札で事後公表制度を導入したが、今回の事件では、事後公表が、便宜供与につながったとみられるためだ。ただ、過去に実施された事前公表の入札では、最低制限価格で応札する業者が相次ぎ、制限価格の公表を事後に変更した経緯もある。市内の建設業者からは、「元に戻るだけだ」と批判する声も上がっている。
 県警の発表などによると、同市工務課長石井孝雄容疑者(56)(収賄容疑で逮捕)は、市が10年11月に発注した道路改良事業で、公表されていない最低制限価格を、市内の土木会社員、新橋弘孝容疑者(49)(贈賄容疑で逮捕)に漏らした見返りに、現金約10万円などを受け取った疑いがもたれている。同市では、ゴミ焼却施設の運転管理業務委託を巡り、当時の市長が06年12月に収賄容疑で逮捕されたのを受け、07年度から一般競争入札を導入。最低制限価格を事前に公表していたが、この価格で応札する業者が相次ぎ、業者を抽選で決めるケースが増加した。このため、09年9月から、一部契約で事後公表制度を試行したが、今回の汚職事件の舞台も事後公表の入札だった。市は、事前公表を一部の入札で実施するが、変更は一時的な措置として、「今後も入札制度の検証は続けていく」としている。
 成田市の建設会社からは批判する声が相次いだ。ある建設会社社長は、「仕事が減る中で最低制限価格が公表されれば、くじ引きになる。同じことの繰り返しだ」と批判する。別の建設会社社長も「最低制限価格で利益を出すのは大変で、自分で自分の首を絞めるようなもの。ただ、資金繰りが厳しいので、仕事を取らないわけにはいかない」と本音を漏らす。国交省入札制度企画指導室によると、ここ数年は、成田市の対応とは逆の事後公表に移行する自治体が増えている。担当者は「職員と業者の接点をなくすなど、不正防止策とセットで事後公表を推奨している」と話している。

本記事では,成田市に設置された「収賄事件調査・再発防止委員会」における審議状況を紹介.2011年8月5日付の毎日新聞を拝読させて頂くと,同市に配置されているお二人の副市長のうち,お一人が委員長,もうお一人が副委員長に就任され,「委員」を「「部長級以上の18人で構成」*1される同会.詳細に関しては,現在のところ,同市HPでは公表されていない模様.事後公表された場合には,要確認.
本記事を拝読させて頂くと,「最低制限価格」の現在の「事後公表」制から「事前公表」制へと変更される方針の模様.「最低落札価格が0である場合」への懸念から同価格の設置がなされることが考えられなくはないものの,その価格は「オークション方式」*2の制度設計次第とも解されることもある.公表時期の思案に限らず,「最低制限価格の廃止」*3もまた,検討対象の一つなのだろうか.考えてみたい.

*1:毎日新聞(2011年8月5日付)「成田市贈収賄:市、調査防止委設置 /千葉

*2:ケン・ビンモア『ゲーム理論』(岩波書店,2010年)145頁

ゲーム理論 (〈1冊でわかる〉シリーズ)

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*3:礒崎初仁・金井利之・伊藤正次『改訂版 ホーンブック地方自治』(北樹出版,2011年)222頁

ホーンブック 地方自治

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