橋下徹大阪府知事が代表を務める「大阪維新の会」が、府と大阪、堺両市の職員を対象に免職や降任など分限処分の基準を定めた条例案を提出する方針を固め、一定の条件下で余剰人員を「整理解雇」できる規定を盛り込む方向で検討していることが8日、維新の会幹部への取材で分かった。
 早ければ月内にも堺市議会を皮切りに府議会、大阪市議会を含めた3議会へ相次いで提出する構え。人件費削減など行政スリム化を容易に実行するのが目的とみられるが、「身分保障」が前提となってきた公務員制度を抜本的に見直す内容で、職員組合や教育界などが反発するのは必至だ。

大阪府橋下徹知事が代表を務める地域政党大阪維新の会」は9日までに、府と大阪、堺両市の9月議会に職員の懲戒・分限処分の基準を定める条例案を提出する方針を固めた。職務命令に3回繰り返し違反した場合は、懲戒免職にできるとの規定を盛り込む方向で検討している。
 併せて、組織合理化などで余剰人員が発生すれば分限免職の対象にするとの規定も設けたい考え。成立すれば全国初の条例になるとみられるが、維新の会は府議会で過半数を占める一方、両市議会では過半数に達していない。また、職員組合の反発も予想され見通しは不透明だ。職員の処分基準を定める条例案は、府内の公立学校の教職員に君が代の起立斉唱を義務付ける条例制定の際、橋下知事が9月議会での提出を表明。これを受け維新の会が検討を進めていた。

両記事では,大阪府議会における議員提出条例案の検討状況に関して紹介.職員への懲戒,分限処分に関する規定を設けた条例案を提出される模様.あわせて,同条例では,いわゆる「整理解雇」に関する規定も置かれる方針の模様.両配信記事でも報道されている「職員組合」「など」の「反発」の見解に関しては,2011年8月9日付の読売新聞による報道を参照*1
ただ,同方針.現行の地方公務員法第28条第1項第4号では「職制若しくは定数の改廃又は予算の減少により廃職又は過員を生じた場合」には「降任」又は「免職」する,いわゆる「行政整理」*2が,現行法も可能.そのため両記事を拝読させて頂く限りでは,同条例案では,極めて法文通りの内容を条例化されるものとも解せなくもない.実際にも,例えば,「平成21年4月1日から平成22年3月31日」の「地方公務員の懲戒処分等の状況」を確認してみると,「職制等の改廃等により過員等を生じた場合」には,「893」*3名が免職されている.
ただ,気になるのは第一配信記事に記されている「一定の条件下」との文言.従来,同取組は「職員にとって重大な問題」として,同取組の実施に際しては,「職制の改廃」「定数の改廃」「予算の減少」の「いずれか一つの事由のみに基づ」くことなく,「実際には」「職制および定数を改廃」した後に「予算上の減員措置をあわせて明確にしたうえで行うことが適当」*4とも解されてきた.「一定の条件下」とは,これらの手続を経ることなく,上記の「事由のみに基づ」き実施するということを宣言されるものなのだろうか(ただ,2011年8月9日付の産経新聞を拝読させて頂くと,「職制の見直しや事業の民営化を進めた上で余剰人員が生じた場合,分限免職の対象にする規定を盛り込む」*5とも報道されており,まさに,同法の運用通りの条例化とも解せなくもない).条例案における具体的な規定内容は,要確認.