横浜市は14日までに、新築の省エネルギー対策住宅などを対象に都市計画税を減額する方針を決めた。従来の新築住宅を対象にした都市計画税の減額措置は廃止する。市によると、省エネ住宅などを対象にした都市計画税の減額措置は全国初。税制を活用し、環境保全や震災対策の推進を目的にしている。
 市税制課によると、新しい減額措置は2013年度分から16年度分までの課税に適用される。12年1月2日から16年1月1日までに工事を完了した新築の省エネ対策住宅と、既存住宅を改修した熱損失防止改修住宅、耐震基準適合住宅の、延べ床面積120平方メートルまでが対象となる。新築の省エネ対策住宅については、断熱性が高いなどの次世代省エネ基準を満たしていれば一戸建てで3年間、マンションで5年間、都市計画税が2分の1減額される。既存の中古一戸建て、中古マンションについても、同基準を満たす改修工事を行った場合(工事費30万円以上)は、工事翌年度の都市計画税が3分の1減額されるほか、1982年1月1日以前から所在する住宅で、現行の耐震基準に適合する耐震改修工事を行った場合(同)は、工事翌年度の都市計画税が2分の1減額される。早期耐震化促進のため、2012年末までに耐震工事が完了した場合は13、14年度の2年分の都市計画税が2分の1減額される。同課の試算では、木造2階建て、延べ床面積約125平方メートルの新築省エネ対策住宅の場合、年間1万3600円、3年間で計4万800円の減額になる。
 新たな減額措置に合わせて廃止される新築住宅を対象とした都市計画税の減額措置は、住宅供給の促進を目的に横浜市が1956年度に導入。大阪市川崎市など、他の政令指定都市でも同様の減額措置が導入されていたが、住宅事情の変化や中古物件購入者、賃貸住宅入居者との税負担の公平性という観点などから廃止が相次ぎ、政令市では唯一、横浜市だけが継続していた。
 横浜市は、開会中の市会第3回定例会に、今回の減額措置を盛り込んだ市税条例改正案を提出。市税制課は「従来の減額措置を廃止することになったが、ただ廃止するのではなく、新たな減額措置を行う。東日本大震災も踏まえ、環境保全や震災対策を後押しするように税制度を活用していきたい」と話している。

本記事では,横浜市における都市計画税減額の取組を紹介.
現行の同税の減額の取組に関しては,同市HPを参照*1.同市では,「50㎡以上280㎡以下」の「専用住宅」(「一戸建て以外の貸家住宅」は「40㎡以上280㎡以下),「居住部分の床面積が50㎡以上280㎡以下」の「併用住宅」を「平成24年3月31日まで」に「新築」する場合,「120㎡以下の場合」は「2分の1」,「120㎡を超え280㎡以下の場合」には「120㎡相当分について2分の1」を,「3階建以上の準耐火構造及び耐火構造住宅」は「新築後5年間」,これら以外の「一般の住宅」は「新築後3年間」*2減額される.
本記事後段にも紹介されているように,同減額措置は,同市では,1955年8月の「調査によれば」「住宅不足数は五万戸」の状態にあり,年々歳々「不足数はむしろ拡大」*3する「住宅難」という政策環境下への措置として採用され,現在まで継続.
本記事で紹介されている,「新築の省エネルギー対策住宅」への減額措置の方針に関しては,現在のところ,同市HPでは把握ができないものの,同じく「経済的アプローチ」による「誘導手法」*4としての減額措置ながらも,その目的を代え,いわば量的増加から質的転換を企図された政策として遷移することとなりそう.その実効性もまた観察対象として興味深そう.具体化後,要経過観察.

*1:横浜市HP(組織財政局よこはま市税のページ横浜市の市税)「新築住宅に対する固定資産税・都市計画税の減額措置

*2:前掲注1・横浜市(新築住宅に対する固定資産税・都市計画税の減額措置)

*3:高村直助『都市横浜の半世紀』(有隣堂,2006年)153頁

都市横浜の半世紀―震災復興から高度成長まで (有隣新書 (62))

都市横浜の半世紀―震災復興から高度成長まで (有隣新書 (62))

*4:北村喜宣『環境法』(弘文堂,2011年)108頁

環境法

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