大阪府は15日、約3千ある予算事業に関し公金を支出した翌日にすべて情報公開すると発表した。2011年度は3兆2417億円の府予算の使い道を1円単位で「見える化」する。橋下徹知事の肝いり。他県でも同様の取り組みがあるが、翌日公表は全国初という。
 府によると、公表するのは担当課名、支払日時や事業内容などで15日午後スタート。会計システムを使い支出情報を自動抽出し、支払先の個人情報などを除き、翌日の14時に前日分を府ホームページに表示する。新潟、岐阜、長崎の各県も同様の取り組みをしているが、翌々月にまとめて公表する方式。

本記事では,大阪府における予算情報公表の取組を紹介.同取組に関しては同府HPを参照*1
「確定した予算がどのように執行されたのか」に関する情報を「公金支出情報」と位置付け,同情報を「府民に明らかにするため」に「財務会計システムで管理する情報をホームページで公表」する取組.「財務会計システムの支出情報」を「支払先等個人情報を含む項目を除いてそのまま公表」される.同府では,同取組により3つの効果が期待されており,一つめは「府民(納税者)は,税金の執行状況が詳細にわかる」こと,二つめは「職員は,より一層適正な支出事務に努める」こと, 三つめには「府政の透明性が高まる」ことで「府民からの信頼が得られる」ことが想定されている.
同取組の内容をより具体的に見てみると,「会計年度,部局名,室課名,支払日,会計名,節(細節)名,支払内容,支払額,事業名(予算事業名)」の9項目を「支払日の翌日14時」に公表される.加えて,「予算編成過程公表の事業ページにリンク」をされており,これより「具体の公金支出がどの予算の事業に該当するのか」が分かるようにもされている.あわせて,公金支出情報の公表のみならず,「公表画面」には「公金支出情報を閲覧した府民からの意見を受け付ける提言窓口を設置」*2されるとのこと.公金情報を確認する場合の利用の簡便性が極めて高くなり,大変,興味深い同取組.実際にもまずは何よりも,「公金支出情報公表」HPを参照*3
確かに「予算・財政の透明性の考え方そのものは,決して新しいものではない」ものの,同府の取組を実現可能とする要因は,まさに「技術的なイノベーション*4によるもの.これら技術に支えられた透明化と利用の簡便化が確保された公金支出情報は,公表によるまなざしへの意識により職員への「規律の内面化」*5をはかるものか,また,実際にも「地域によるガバナンス」*6による「規律付け」が高まることにもなるのか,今後の同システムの利用状況も要確認.

*1:大阪府HP(報道発表資料究極の情報公開「公金支出情報の公表」を開始します!)「「公金支出情報の公表」について」(府民文化部 府政情報室,平成21年9月15日)

*2:前掲注1・大阪府(「公金支出情報の公表」について)

*3:大阪府HP「 公金支出情報の公表」,「公金支出情報」及び「公金支出情報の公表方法・検索方法等

*4:田中秀明『財政規律と予算制度改革』(日本評論社,2011年)42頁

財政規律と予算制度改革  なぜ日本は財政再建に失敗しているか

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*5:重田園江『ミシェル・フーコー』(筑摩書房,2011年)119頁

ミシェル・フーコー: 近代を裏から読む (ちくま新書)

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*6:喜多見富太郎『地方自治護送船団』(慈学社,2010年)242頁

地方自治護送船団―自治体経営規律の構造と改革

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