県議会は、20歳未満の傍聴を制限する全国でも特異な規則を20日開会の9月定例会で廃止する。「公開が原則の議会で年齢制限はおかしい」と批判されていた。これまでなかった政策条例の議員提案に向けた議論も進んでおり、定例会で新たな改革が具体化しそうだ。
 県議会の傍聴規則は、「満20歳未満の者は特に議長が許可した場合、傍聴することができる」と規定。傍聴希望者は所定の紙に名前と住所、年齢を書いて議会事務局に提出しなければならず、未成年が許可なく傍聴することはできなかった。ほかの都道府県議会は年齢制限がないか、あっても多くは児童や乳幼児を対象としている。県議会は従来「議長が許可するから問題ない」と主張していたが、改革機運が高まる中で、議会内からも「開かれた議会を目指すなら傍聴者への配慮は欠かせない」との声が上がっていた。20日の議会運営委員会で傍聴規則の改正を決める。今回の改正で、禁止していた傍聴席へのつえの持ち込みも認める。帽子や外とうも病気などで必要な場合は議長が許可した上で着用できるようにする。松本国寛議会運営委員長は「できるところから見直す姿勢は今後も続けていきたい」と話す。
 議員提案による初の政策条例として、自民党民主党・県政クラブ、公明党、緑友会の4会派が協議しているのは「飲酒運転撲滅条例」。8月から会議を重ね、飲酒運転事故の被害者遺族や大学教授から意見を聴いた。座長の樋口明県議(自民党)は「注目度は高い。恥ずかしくないものを作りたい」と意気込み、12月提案を目指している。ただ、当初検討していた罰則の強化は、既に道路交通法の厳罰化が進んでいることから「条例でできることは限られる」と慎重意見が根強い。ある会派幹部は「まずは条例をつくることが大事。無理して凝った内容にする必要はない」と語った。

本記事では,福岡県議会における傍聴規則改正の方針を紹介.
本記事でも紹介されているように,同規則第9条では「年令満二十歳未満の者は特に議長が許可した場合傍聴することができる」*1と規定されており,規則上は原則20歳以上もののみが,議長による許可手続を経ることなく,傍聴が可能とされている.
方や,同県議会HPでは,「公開を原則」として,「会議中はいつでも傍聴でき,傍聴を希望される方に傍聴券」を「開会の1時間前から先着順で交付」*2と,実際の手続を記述.特段,年齢制限は明記されてはおらず,また,議長が年齢に基づき許可を行うための時間を予め傍聴希望者に求めてはいない模様.しばしば,「傍聴は,「迷惑な存在」」として「委員会の傍聴を認めている自治体はきわめて少ない」*3とも観察されるなかで,同県議会では「本会議」のみならず「8つの常任委員会」の何れも公開されており,いわば「積極的な議会審議の公開」*4の向きは窺えそう.これまでに実際にも,「未成年」の方が傍聴に要する書類を提出し,議長が許可しなかった事例もあるものなのだろうか,要確認.

*1:福岡県HP(県政情報県の条例、公報福岡県例規全集)「福岡県議会傍聴規則」(昭和24年07月16日,議会告示第1号)

*2:福岡県HP(福岡県議会議会からのお知らせ)「傍聴のご案内

*3:稲継裕昭『地方自治入門』(有斐閣,2011年)50頁

地方自治入門 (有斐閣コンパクト)

地方自治入門 (有斐閣コンパクト)

*4:総務省HP(組織案内審議会・委員会・会議等 地方行財政検討会議)「「地方自治法抜本改正についての考え方(平成22年)」(総務省平成23年1月26日)10頁