高齢者や子育て世帯など、日常の買い物に困っている人への対策として福生市は来年2月、買い物代行サービスの実証実験を始める。来年度まで継続する予定。日野市も12月10日、市内の一部で宅配サービスを補助金事業として始める予定だ。両市とも地元商店街活性化も目的で、買い物弱者への自治体支援が多摩地域でも広がりつつある。
 経済産業省流通政策課の今年3月段階での調査によると、多摩地域では国分寺市、狛江市などで買い物弱者向け宅配サービスへの補助金があるが、予算は50万円未満で、宣伝支援などにとどまっていた。新たに取り組む福生市は、高齢者や障害者らの買い物代行へのニーズ把握が目的。今年度545万円を予算計上した。1月から電気自動車(2台)を市民で共同利用する実証実験も始め、買い物代行の配達にも活用する。利用出来るのは、市内4商店街の登録店で、複数店から買うことも可能。登録店を募集中で、米屋や酒屋など、重い商品を販売している店などに登録してもらう。利用料は1回につき100円で、電話、ファクス、インターネットで受け付けする。利用は事前登録が必要で、1月の広報で募集する。問い合わせは、市シティセールス推進課へ。
 一方、日野市は今年度の補助金事業として、JR豊田駅周辺を対象に「豊田じぞう宅配便」を実施する。酒店、精肉店、書店、茶販売店など地元商店会の40店が参加、事務局が専用電話とファクスで受け付け、指定した商品を自宅に配達するほか、家電取り付け、建物修理など困りごとにも対応する。来月10日に開始し、月、水、土の週3回実施。利用料金は1回100円(3キロ・グラム未満)から。制度に関する問い合わせは、市産業振興課へ。

本記事では,福生市と日野市における買い物弱者支援の取組を紹介.
2009年8月25日付及び2010年5月13日付の本備忘録でも紹介した,「日常の買い物をしたり,生活に必要なサービスを受けたりするのに困難を感じる人たち」とされる「買物弱者」*1への取組.福生市の取組に関しては,現在のところ,同市HPでは把握できず.日野市の取組に関しては,同市HPを参照*2.日野市では,「商店会やNPOが主体とな」り,「商店会の店頭で購入した商品を自宅まで配送するサービス」と「電話(FAX)で注文を受けた商品を宅配するサービス」を実施.「(毎週)月曜・水曜・土曜」の「10時から15時」の間で「注文受付」,「1回100円」を基本とし,「3kg以上」は「150円」,「5kg以上」は「200円」の「宅配料金」*3で上記サービスを実施さえれる模様.
本記事でも紹介されている経済産業省による調査とともに,同省が取りまとめた『買い物弱者を支えていくために〜24の事例と7つの工夫 ver2.0〜【新規事例、支援制度追補版】』は,同対策への基本的には「住民主体で運営」*4の取組としても整理されるなかでの,自治体の持続的な関わり方を考える機会を得ることができ,興味深い.勿論,「事業者,地域コミュニティ,行政などが役割を分担し,連携して,事業収入でまかないきれない費用を補う工夫」*5として「初期投資や運営コストを公的に補填してもらうことや税金の減免」*6措置も一つではあるものの,その持続性はやや心もとない.そこで,自治体側からはどのような関わり方があるのだろうと思っていたなかで,上記のマニュアルを拝読させて頂くと「自治体庁舎や公民館,商工会議所,そのほかの公益施設などを活用して店舗や停留所をつく」*7ることもその方策として紹介.なるほど,まさに「市民」が「多く立ち寄れる場所」*8の提供も一つの方策か.

*1:経済産業省HP(政策別に探す経済産業流通・物流基盤整備買い物弱者対策支援について)「買い物弱者を支えていくために〜24の事例と7つの工夫 ver2.0〜【新規事例、支援制度追補版】」(経済産業省平成23年5月30日)2頁

*2:日野市HP(くらし商工業商業)「豊田商店会で宅配サービス「豊田じぞう宅配便」が始まります

*3:前掲注2・日野市(豊田商店会で宅配サービス「豊田じぞう宅配便」が始まります)

*4:前掲注1・経済産業省(買い物弱者を支えていくために〜24の事例と7つの工夫 ver2.0〜【新規事例、支援制度追補版】)72頁

*5:前掲注1・経済産業省(買い物弱者を支えていくために〜24の事例と7つの工夫 ver2.0〜【新規事例、支援制度追補版】)74頁

*6:前掲注1・経済産業省(買い物弱者を支えていくために〜24の事例と7つの工夫 ver2.0〜【新規事例、支援制度追補版】)79頁

*7:前掲注1・経済産業省(買い物弱者を支えていくために〜24の事例と7つの工夫 ver2.0〜【新規事例、支援制度追補版】)70頁

*8:稲継裕昭・山田賢一『行政ビジネス』(東洋経済新報社,2011年)67頁

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