県は13日、過疎地域などの県営住宅に限っている単身での入居を全県で可能にする県営住宅条例改正の検討案を県住宅審議会に示した。経済状況の悪化で単身の経済困窮者が増えていることや、県営住宅がある県内38市町村のうち23市町村が過疎地域などに指定されていることから、より実態に合わせる狙い。
 4月に地域主権改革推進第1次一括法が成立、来年4月以降、入居者資格を都道府県条例で定めることになるのに合わせて検討していた。県営住宅は現在、「同居する親族があること」が原則。ただ例外として、高齢者や障害者はどこでも単身入居が可能であるほか、過疎地域や振興山村、豪雪地帯の市町村にある県営住宅では単身入居を認めていた。4月1日時点で、県営住宅に入居する1万3754世帯のうち単身は4118世帯(29・9%)。県は来年1月6日まで検討案への意見を募集した上で、2月定例県会への条例改正案提出を目指す。問い合わせは住宅課(電話026・235・7337)へ。

本記事では,長野県における県営住宅の入居資格の見直しの取組を紹介.
現在,同県では,同見直しに関するパブリックコメントを実施.詳細は,同パブリックコメントを参照*1.現行の「入居者の資格」は,「県営住宅等に関する条例第4条第2項に規定されているように,公営住宅法「第23条各号」「に掲げる条件を具備する者」*2等と規定されており,具体的には,「60歳以上の者」「障害者」「生活保護受給者」「DV,犯罪等被害者」「戦傷病者,原子爆弾被爆者,海外からの引揚者,ハンセン病療養所入所者」,「過疎,豪雪,振興山村地域を含む市町村に所在する県営住宅に申込む者」とされている.
本記事でも紹介されているように,「地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律」の成立により,公営住宅法第5条では「基準を参酌して事業主体が条例で定める」*3との規定されたことを受けて,「入居者の資格」を改め,「過疎,豪雪,振興山村地域を含む市町村に所在する県営住宅に申込む者」の明文化を改め,「上記以外の者(独立生計を営む者)」*4とされ,単身者での入居も可能とする模様.「参酌」しつつも独自に作成された基準が,今後は,各都道府県が「相互参照」*5を経て,共通の基準として作成されることにもなるのだろうか,要観察.

*1:長野県HP「県営住宅の入居者資格に対するご意見を募集します

*2:長野県HP(長野県法令検索システム)「県営住宅等に関する条例」(昭和35年10月13日,条例第33号)

*3:内閣府HP( 内閣府の政策 地域主権改革 「地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律」・「国と地方の協議の場に関する法律」が成立。)「地域の自主性及び自立性を高めるための改革の推進を図るための関係法律の整備に関する法律」58頁

*4:前傾注1・長野県(県営住宅の入居者資格に対するご意見を募集します)

*5:秋吉貴雄,伊藤修一郎,北山俊哉『公共政策学の基礎』(有斐閣,2010年),250頁

公共政策学の基礎 (有斐閣ブックス)

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