結論が不明確な会議や、机の上にあふれる文書―。地方公務員の意欲を高める職場環境を探っていた総務省有識者研究会は26日までに、役所内にある10項目の「無駄」を示し、改善を求める報告書をまとめた。
 総務省は近く報告書を自治体に配布。担当者は「中央省庁にも耳の痛い話。できるところから改善してほしい」と話している。報告書は、自治体の会議について「長時間に及び、了承を得るためだけに多数の関係者が招集される。結論が明確でない」と批判。資料を出席者に事前公開して会議での説明を省略したり、電子化で印刷の手間を省いたりするなど効率的な運営ルールを決めるべきだとした。

本記事では,総務省における自治体の職場に関する研究成果を紹介.
同省では,2010年11月に「地方公共団体の職場における能率向上に関する研究会」*1を設置され,2012年3月迄に10回開催されている.ただし,本配信記事で紹介されている「報告書」に関しては,現在のところ,同省HPでは公表されていない模様.公表後,要確認.ただし,本配信記事内でも報道された,同研究会が整理された「10項目の「無駄」」,2012年1月17日に開催された第9回の同研究会の配布資料から確認することとができる.具体的には,次の10項目*2

  • 「ムダな紙」
  • 「ムダな机」
  • 「ムダな執務スペース」
  • 「会議のムダ」
  • 「照会業務のムダ」
  • 「ムダな残業」
  • 「定型業務のムダ」
  • 「窓口業務のムダ」
  • 「文書管理のムダ」
  • 「現金取扱いのムダ」

項目だけではあるものの,1950年代後半の「地方自治の近代化」*3時点でも指摘された課題との共有性も高そうな「ムダ」が並ぶ.そのため,職場の「ムダ」は伝統芸の如く,連綿と継続されてきた様子も観察できそうでもあり,いわば,職員は変われど,職場は変わらず,とも解せそうか.ただ,同研究会が示すこれらの「ムダ」への対策は,比較的現代風でもある.具体的には,それぞれの「ムダ」に応じて,順に,「ペーパーレス,ペーパーストックレス」化,「フリーアドレス」化,「フリーミーティングスペースへの転用」,「会議ルール設定,資料の事後廃棄」化,「コールセンターの活用」,「日程の共有によるムダとり」,「ルーティンワークのマニュアル」,「ファイリングシステムの活用」,「電子マネー納付の導入」,「ワンストップ窓口の導入」が提案される模様.
下名個人の関心からは,やはり,2009年10月23日付の本備忘録にも記し,細々と観察を続けている,「自治体内会議体」の観点.同報告書内で指摘されているであろう「会議のムダ」は,たいへん興味深そう.例えば,会議時間に関しても,「会議ルール設定」という「標準作業手続」*4を設けることで,「早く終わる会議は良い会議」*5を実現することができるか,こちらも要確認.

*1:総務省HP(組織案内研究会等)「地方公共団体の職場における能率向上に関する研究会

*2:総務省HP(組織案内研究会等地方公共団体の職場における能率向上に関する研究会)「地方公共団体の職場における能率向上に関する研究会平成24年1月17日(火)【第9回】」7頁(別紙)

*3:自治庁編『地方自治の近代化』(1957年11月)5頁

*4:西尾隆『現代行政学』(放送大学教育振興会,2012年)155頁

現代行政学 (放送大学教材)

現代行政学 (放送大学教材)

*5:森田朗『会議の政治学』(慈学社,2007年)2頁

会議の政治学 (慈学選書)

会議の政治学 (慈学選書)