仕事の無駄を省いて業務の効率化を進めるトヨタ方式の「カイゼン」を職員に分かりやすく解説するため、鳥取県が制作した漫画「カイゼン大河マンガ・鳥馬伝とりまでん」が評判を呼んでいる。
 昨年9月には、同県庁を視察に訪れたスーダン政府の職員の目に留まり、「自国に広めたい」とアラビア語に翻訳されたほか、他の自治体の職員からも「取っ付きやすく、分かりやすい」と問い合わせが相次いでいるという。県は新年度に新たな作品を発表する予定という。
 県は職員の時間外勤務が増え、地域活動や家庭生活に影響を及ぼしているとして、2010年度から「県庁改革推進プロジェクトチーム」を設置。3年間にわたり、仕事と家庭生活の両立を目的に「カイゼン運動」に取り組んでいる。書類や備品の整理整頓、無駄な資料の削減などを全庁的に進めており、世界的にも知られる「カイゼン」の導入で高い実績を上げたトヨタの業務改善の方法に注目。職員に理解してもらうために、手にとって読みやすい漫画で紹介することにした。「鳥馬伝」は、坂本龍馬を主人公にしたNHKの大河ドラマ龍馬伝」をパロディー化した漫画で、カイゼンを学ぶため民間企業に派遣されていた県庁職員の坂本鳥馬が主人公。産業労働部「海援グループ」の同僚で、西郷隆盛岩崎弥太郎をモデルにした西郷隆、岩崎玄太郎らが登場する。鳥馬らが残業などにつながる仕事の問題点を探り、仕事の流れを図やグラフで示すなどして効率化に成功するという筋書きで、カイゼンの方法を紹介していく。制作は県業務効率推進課が担当し、昨年1月から3月まで8回にわたり県のホームページなどに掲載。
 同9月には、カイゼンの研修の一環で県庁を視察したスーダン財務省職員が「持ち帰って勉強に使いたい」と興味を示し、同11月頃、国際協力機構(JICA)を通じて「スーダン国内で活用するためアラビア語に翻訳したい」と連絡があった。今年1月にはアラビア語版が送られてきた。また、各自治体がカイゼンへの取り組みを紹介する発表会などで漫画を披露したところ、「参考にしたい」と問い合わせが相次ぎ、同様にカイゼン運動に取り組んでいる三重県庁などに、漫画を印刷した冊子を計約300部送ったという。
 同課は昨年7月、事務用品や書類の整理整頓で仕事の効率が向上するという内容の第2弾「『見える化』でGO!」を発表。3月2日に大分市で開かれた自治体のカイゼン運動の全国大会で2作品を紹介したところ、「カイゼンの理念や流れがよく分かる」と評判になり、持参した計30冊が約30分でなくなる人気ぶりだった。担当者は「新年度は人気ロールプレイング・ゲームを題材に各部局の取り組みを紹介する内容の漫画を検討中で、『まんが王国とっとり』のPRにもつなげたい」と意気込んでいる。(野口英彦)

本記事では,鳥取県における「カイゼン」の取組の紹介の取組を紹介.
同県が取り組む「カイゼン」を「分かりやすく」「親しみやすく紹介」するために,「カイゼン大河マンガ 鳥馬伝」*1を作成.同マンガは,2011年1月24日に第1回「鳥馬,帰る」*2で開始し,2011年3月22日の「カイゼンよ永遠に!」*3までの全8回にわたる内容.同県では,本記事後段でも紹介されているように,「カイゼン」のなかでも「見える化」に特化した「見える化でGO!」*4というマンガも作成され,公表されている.
「全ての現場作業」は,「全く必要でない活動」である「純粋なムダ」,「本来的にはムダな作業だが,現在の作業条件下ではやらなければならないかもしれないもの」である「「付加価値」を伴わない作業」,そして,「手枝を加えることによって,粗形材や半製品の価値を増大させる変形作業」である「「付加価値」を高める正味作業」*5とも整理されるとすれば,カイゼン推進という正味作業のなかでの,マンガ化によりその作業の「付加価値」を高める取組とも解せそうか.本記事では,「他の自治体の職員」の方々からの同マンガへの反応が報道されているものの,同県内での講読状況も分かると興味深そう.