◆402人に1732人分
 揖斐郡揖斐川町議会の小選挙区制廃止と定数を13に削減する条例改正を直接請求するため、「揖斐川町の改革を考える会」(高橋毅会長)が提出した署名について、町選挙管理委員会は30日、署名簿の審査を終え、1732人分を有効と判断したと告示した。直接請求に必要な署名数は有権者の50分の1で、3月2日現在で402人分。
 考える会は4月10日、集めた1871人分の署名簿を町選管に提出した。町選管によると、審査で無効と判断された署名は139人分で、多くは同一筆跡だったという。署名縦覧が、5月1から7日まで、町役場1階の第2会議室で行われる。時間は午前8時30分〜午後5時30分。異議申し立てがあれば再審査し、有効署名数が確定する。直接請求に必要な数を上回り、本請求が出されれば、宗宮孝生町長は20日以内に議会を招集し、意見を付けて付議する。

本記事では,揖斐川町に対する直接請求への署名数の結果を紹介.
同町では,2012年4月9日付の読売新聞で報道されているように,「2005年の合併以降」「選挙区制」*1を採用されている.具体的には,「揖斐川町議会の議員の選挙区及び各選挙区における議員の定数に関する条例」に基づき,6つの選挙区を設置.各選挙区はいずれも「合併前」の町村の「区域」毎に選挙区を置かれており,「揖斐川選挙区」が9名,「谷汲選挙区」が3名,「春日選挙区」と「久瀬選挙区」はそれぞれ2名づつ,「藤橋選挙区」と「坂内選挙区」は1名づつの定数が定められている*2.そのため,読売新聞の同記事からは,「選挙区間の議員1人あたりの人口格差」が「7.15倍」*3にある現状も報道.なるほど,合併後に置かれた選挙区もまた,「各単位の境界は,それに割当てられてあらゆる機能を果たすには過大であり,あるいは過少」*4でもあるとも整理ができそう.
本記事では,同結果を受けて,直接請求が実施され,あわせて,その署名数が法定要件を満たしたことを紹介.方や,「直接請求が成立すると条例案は首長の意見を付して議会に提案され」ることにはなるものの,「ほとんどの場合,首長の意見は「妥当とは認めがたい」であり,議会の議決結果も否決」*5との観察記録もある.同町の直接請求成立後の手続は,要観察.

*1:読売新聞(2012年4月9日付)「珍しい町議選挙区、1票の格差7倍…廃止へ署名

*2:揖斐川町HP(揖斐川町 例規集)「揖斐川町議会の議員の選挙区及び各選挙区における議員の定数に関する条例」(平成17年1月31日,条例第5号)

*3:前傾注1・読売新聞(2012年4月9日付)

*4:ロバート・A・ダール,エドワード R.タフティ『規模とデモクラシー』(慶應義塾大学出版会,1979年)233頁

規模とデモクラシー

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*5:田口一博「議員提案条例と市民提案条例」北村喜宣編著『分権条例を創ろう!』(ぎょうせい,2004年)25頁

分権条例を創ろう!

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