低迷するがん検診の受診率を向上させようと、県は本年度、可児市と連携して、対象者個人に受診を呼び掛けるモデル事業を実施する。がん検診のモデル事業は、県内では初めて。効果が上がれば来年度以降、全市町村に広める。
 がんは、早期発見と早期治療が重要とされる。国は受診率50%を目標に掲げ、自治体に対策を呼び掛けている。しかし、県の二〇一〇年度の受診率は10〜28%と目標に遠く及ばない。全ての検査項目を受診すると、本人負担が男性三千円、女性六千円ほどかかるのがネックとなっているほか、多くの市町村は広報紙で受診を呼び掛ける程度のため、検診を知らない人も多い。
 可児市は四年以上前から、検診通知を対象者全員に郵送。未受診者には年二回、追加通知を送って受診を促している。同市では胃がんの検診者が多く「通知の効果が表れている」(県)という。このため、地道な可児市の取り組みをさらに充実させて効果を調べるため、事業費百七十八万円で可児市にモデル事業を委託した。モデル事業では、従来の対策に加えて、未受診者への呼び掛けを強化。通知の回数を増やすほか、長年受けていないなど特に注意が必要な人には電話で受診を促す。受診を希望しない人にはアンケートで、その理由を尋ねる。一年間の取り組みによる受診者の増減や未受診の理由を分析した上で、対策をチェックリストにし、他の市町村でも利用できるようにする。県保健医療課は「受診率の向上には、劇的な方法はなく、通知や電話でこつこつと重要性を訴えて、意識を高めていくしかない」と話す。地道なモデル事業の効果を実証し、県内に広める方針。(石井宏樹)

本記事では,岐阜県におけるがん検診受診促進の取組を紹介.
同県の「岐阜県のがん検診受診率」を拝見させて頂くと,2009年度では,胃がんの検診受診率は10.8&,肺がんは15.4%,大腸がんは15.1%,子宮がんは21.1%,乳がんは26.5%と,乳がん検診は全国レベルでは16.3%であることに比べれば10.2ポイント受診率は高いものの,胃がんは全国レベルが10.1%,子宮がんは21.0%とほぼ同割合,肺がんは17.8%,大腸がんは16.5%が全国での受診率とするとやや低値となっていることが分かる*1.各がん別での受診率の推移では,2005年度と対比すると,胃がんが14.8%の受診率から4.0ポイントの減*2,肺がんは28.1%から17.7ポイント減*3,大腸がんは18.9%から3.8ポイント減*4と何れも受診率は概ね逓減傾向にあることが窺える.方や,子宮がんと乳がんは逓増傾向にあり,子宮がん19.0%から2.1ポイント増*5乳がんは20.6%から5.9ポイント増*6と推移している.
本記事では,これらがん検診の「受診率を向上」を目的に,可児市への検診通知の取組を「さらに充実させて効果を調べるため」の「モデル事業」の「委託」を実施されていることを紹介.同事業の詳細に関しては,現在のところ同県,同市の各HPでは確認ができないものの,本記事を拝読させて頂くと,「通知の回数」の増加,長年の未受診者への「電話」による促し,そして,「受診を希望しない人」への「アンケートによる「理由を尋ねる」ことが主な事業内容.本記事後段でも紹介されている同県保健医療課によるお話からを拝読させて頂くと,2011年10月5日付の本備忘録にて記録したような「スマートな情報提供」*7に依拠せず,「劇的な方法はなく」「こつこつと重要性を訴えて」いく情報提供と「説得」*8が有効と考えられている模様.同事業の実施により,更なる受診率の増加に至るか,要経過観察.