空き家の適正管理に関する条例制定に向けて協議してきた伊万里市など県西部4市4町は17日、条例素案を発表した。倒壊の危険性がある空き家を行政が強制的に解体する代執行や、持ち主への解体費助成など、実効的な対策を盛り込んでいる。伊万里市など6市町は9月議会、鹿島など2市町は12月議会以降に条例案を提出する。
 空き家条例を制定するのは伊万里、武雄、鹿島、嬉野、大町、江北、白石、太良の4市4町。県西部は老朽化した炭鉱労働者住宅が多く、空き家も増加傾向にあることから、伊万里市の塚部芳和市長の呼び掛けで5月、共同研究会を立ち上げて検討してきた。素案では、行政が倒壊など住民に危険性があると判断し、対策を講じるよう命令しても持ち主が従わなかった場合は、強制的に建物を解体して費用を持ち主に請求する代執行を明記(鹿島は検討中)。支援策として、解体費の工面が難しい持ち主に対する一部助成と、建物と土地を行政に寄付してもらい、跡地を行政区で活用する対策を盛り込んだ。寄付については「管理費の負担が大きい」として鹿島、江北、白石、太良は除外した。具体的な助成額などは市町ごとに定める。
 また、空き家の管理意識を高めるため、空き家の立ち入り調査や指導・勧告、命令に従わない場合の住所・氏名の公表なども定める。参加自治体の首長らが参加した会見で、塚部市長は「高齢化などの要因で、空き家は全国的な問題になっている。これまでは個人財産のため、行政は手を出せなかったが、条例制定で行政も問題解決に向けて対応できる」と述べた。県内では、多久市と有田町が持ち主への注意や氏名公表などを定めた空き家条例を今年6月に制定。行政代執行など実効的な対策を盛り込んだ条例制定は、県内で初めてになる。

本記事では,伊万里市武雄市鹿島市嬉野市,大町町,江北町,白石町,太良町における空き家の適正管理に関する条例措素案の策定を紹介.
2012年5月18日付の同紙で報道されていたように「4市2町」で「勉強会」*1を開始.その後,2012年5月31日付の同紙で報道されているように,第2回の検討会から2町が加わり「4市4町」*2にて検討が進められ,本記事で紹介されているように,素案が取りまとめられた模様.対象となる「空き家」の段階は,「常時無人性」「適切管理性」「流動化可能性」からの「整理」*3からはどの段階なのだろう.要確認.
また,本記事を拝読させて頂くと,「代執行」を明記されるとともに,「立ち入り調査や指導・勧告,命令に従わない場合の住所・氏名の公表」も含まれている模様.同条例素案が「4市4町」の間で「理念的規定や努力義務規定が多く」なることなく「実体的な規制的内容を盛り込んだ」*4内容とした共通条例として,各市町議会に提出されることになるのだろうか.今後も要経過観察.

*1:佐賀新聞(2012年5月18日付)「空き家条例制定へ 佐賀県内4市2町が勉強会

*2:佐賀新聞(2012年5月31日付)「空き家条例検討会 白石、太良が入り4市4町に

*3:北村喜宣「空き家対策の自治政策法務(1)」『自治研究』第88巻第7号,2012年7月,22頁

自治研究 2012年 07月号 [雑誌]

自治研究 2012年 07月号 [雑誌]

*4:田村泰俊, 千葉実, 吉田勉編著『自治政策法務』(八千代出版,2009年)286頁

自治体政策法務

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