埼玉県北本市は、優先すべき施策をインターネット上で市民に選んでもらう試みを10月1日から始める。市によると全国初という。石津賢治市長は「市政への住民参加のあり方に一石を投じる意味合いがある」と話している。
 市によると、新規事業の候補10件をホームページで公開し、市民がウェブ投票する。候補は、JR北本駅前などに防犯カメラを設置することや、お年寄りへのタクシー補助券配布など。市民生活に関係する70の事業から、無作為に選んだ市民20人で構成する事業選択市民会議などが10件に絞り込んだという。
 施策は1人3件までか、事業費の合計が1千万円になるまで選ぶことができる。市の広報に折り込まれた所定の用紙に記入し、郵送でも投票できる。人気が高い事業は、計1千万円の枠内で来年度の一般会計当初予算案に盛り込む。

本記事では,北本市における「事業選択市民会議」の取組を紹介.2012年8月13日付の本備忘録にて記録した同会議の取組.本記事では,「10月に実施予定」と公表されていた「ウェブ参加型」の取組を紹介.同型の取組に関しては,同市HPを参照*1
投票の対象となる事業案は,「舗道ガム汚れ取り」「ほしのがっこう」「デマンドバス パソコン・携帯予約」「デマンドバス割引サービスの普及」「もっと、おいしい給食による食育」「第3子以降出産祝金」「買物配達サービス普及支援」「高齢者タクシー補助券」「中学校ふれあい先生の配置」「駅前・公園等 防犯カメラの設置」*2の10事業.これ以外にも,「助けてくれる隣人」「合計特殊出生率」「自転車利用」「医療介護」「未婚率」「将来推計人口」「中学生自己有用感」「緑地率」「犯罪数」「幸福度」の10個の「トピックス」への支持の表明も可能とされる.そして,まず「支持率の高い事業案」は,「一定の範囲」で「来年度の事業予算案が準備」されることになり,後者の「支持率の高いトピックス」に関しては,こちらも「一定の範囲」で「来年度に事業案が準備され」*3,「次年度の市民会議で選択」*4を諮ることに予定という.
これらの支持の表明を行うための参加者の資格は,「誕生日が平成6年4月1日以前」であり「平成24年9月1日時点」で北本市住民基本台帳に登録されている」*5こととなり,参加者は「賛成」または「反対」と個々に支持を表明する.そして,「事業案への(賛成数−反対数)である支持数」を「参加者数で割」,各事業,トピック毎に「支持率」*6が表示される.いわば,ひとつの「集団の知恵」*7.興味深い.
その結果,提出される賛否に基づく支持率という「技術核」が,どのように予算案という「管理核」*8の確定に至るのか,今後の投票とその反映状況は,要経過観察.

*1:北本市HP(市政情報市政ニュースきたもと市民会議ページを開始しました)「きたもと市民会議

*2:北本市HP(市政情報市政ニュースきたもと市民会議ページを開始しましたきたもと市民会議)「事業案一覧

*3:前掲注2・北本市(事業案一覧)

*4:北本市HP(市政情報市政ニュースきたもと市民会議ページを開始しましたきたもと市民会議)「お問い合わせ

*5:北本市HP(市政情報市政ニュースきたもと市民会議ページを開始しましたきたもと市民会議)「参加資格

*6:前掲注4・北本市(お問い合わせ)

*7:レン・フィッシャー『群れはなぜ同じ方向を目指すのか?』(白揚社,2012年)113頁

群れはなぜ同じ方向を目指すのか?

群れはなぜ同じ方向を目指すのか?

*8:田尾雅夫『市民参加の行政学』(法律文化社,2011年)98頁

市民参加の行政学

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