都内の臨海部や羽田空港周辺などに海外企業を誘致する都のアジアヘッドクォーター特区をめぐり、都は十九日の都議会決算特別委員会で、進出企業向けの優遇策である法人事業税の減免は最大で年間八十億円になるとの見通しを明らかにした。一方、日本全体の経済効果は五年間で二兆三千億円、都内だけでも一兆円に上ると推計し「減免分を上回る効果がある」と説明している。
 知事本局によると、法人事業税の減免対象外の企業も含めて五百社の誘致を目標とし、工場建設や雇用などで生じる経済効果を調べた。昨年の推計では全国で九千六百億円、都内は八千億円だったが、誘致を目指す研究開発拠点、事業統括拠点となる企業に焦点を当てた最新データで精査したところ、大幅に増えた。特区は、研究開発拠点や事業統括拠点を設けた外資系企業を対象に五年間、法人事業税を免除する仕組み。二〇一六年度までに五十社の誘致が目標で、減免額は八十億円になる。

本記事では,東京都における「アジアヘッドクォーター特区」による法人事業税減免の推計額を紹介.
東京都による「国際戦略総合特区」制度として「「アジアヘッドクォーター特区」の指定申請」に際しての資料では,「外国企業の高度集積」「科学インフラの充実(研究者数,特許件数)」という「強み」に対して,「高い法人実効税率」が「弱み」*1として整理.同特区指定前の「実効税率」は「40.7%」.「総合特区法に基づく法人税の軽減措置」とともに,「法人事業税,不動産取得税,固定資産税,都市計画税の減免」*2の「独自減税」により「28.9%」となり,「復興増税法人税額10%)」の終了後には「20%台半ば」*3とする方針にあるという.本記事では,法人事業税の具体的な減免額を,「最大で年間80億円」となることを紹介.
「経済的インセンティブ*4である減免措置に応じてその立地を選択する,いわゆる「足による投票」*5を期待する同取組.その投票動向は,要観察.

*1:東京都HP(これまでの報道発表2011年9月国際戦略総合特区「アジアヘッドクォーター特区」の指定申請等について 平成23年9月27日 知事本局)「別紙 アジアヘッドクォーター特区構想」4頁

*2:東京都HP(各局のページ知事本局アジアヘッドクォーター特区)「国際戦略総合特別区域計画」48頁

*3:東京都HP(これまでの報道発表2011年12月「アジアヘッドクォーター特区」の指定について 平成23年12月22日 知事本局)「資料1「アジアヘッドクォーター特区」について

*4:礒崎初仁・金井利之・伊藤正次『改訂版 ホーンブック地方自治』(北樹出版,2011年)144頁

ホーンブック 地方自治

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*5:畑農鋭矢・林正義・吉田浩『財政学をつかむ』(有斐閣,2008年)170頁

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