大都市制度の見直しを進める政府の地方制度調査会(首相の諮問機関)の専門小委員会は29日、年内に取りまとめる中間報告の素案を固めた。道府県と政令市の「二重行政」の解消に向け、道府県から権限移譲を行うなど政令市の機能強化を求めている。
具体的には、政令市立学校の教職員給与や、市域内で完結する都市計画に関する権限などを政令市へ移譲。同時に財政措置も講じる。道府県と政令市が連絡調整を行う協議会も設置し、二重行政の解消を目指す。
一方、一部の政令市が主張する新たな大都市制度「特別自治市」の創設は、事実上先送りする方向性を示した。橋下徹大阪市長の唱える「大阪都」構想については、既に政治主導で実現のための新法が成立していることから、具体化する場合の留意点を示すにとどめ、賛否には触れていない。また、人口要件が30万人以上の中核市と20万人以上の特例市の制度統合を打ち出した。
少し古い記事ですが,本記事では,地方制度調査会の専門小委員会の審議状況を紹介.本記事では,中間報告素案に関して報道.
「規模に応じた事務配分などの特例」*1としての大都市等に関する特例制度.同制度のうち2012年8月22日付の本備忘録でも記録した「特例市制度」の廃止に関する議論.2012年11月7日に開催された第23回専門小委員会では,特別市市長会も資料提示され,自らも「人口による画一的な枠組み」から「教員人事権,児童相談所,都市計画等の事務や権限」を例示しつつ,「基礎自治体が能力や地域の実情に応じて選択」を可能とする都市制度として,「中核市と特例市の統合」した「(仮称)中核特例市」*2が提唱し,同制度の廃止・統合化路線を促進されている.
本記事を拝読させて頂くと,「人口要件が30万人以上の中核市と20万人以上の特例市の制度統合」に中間報告素案が取りまとめられた模様.2010年10月1日国勢調査人口に基づけば,20政令指定都市の総人口が27,152,386名,41中核市の総人口は16,603,541名,40特例市の総人口は10,540,692名であるため,中核市と特例市が統合した場合,27,144,233名とほぼ政令指定都市の総人口と一致.しばしば,指定都市長会が提示されるように,政令指定都市が日本の「全人口の約2割を占めて」*3いるとすれば,今後は2つ都市制度で約4割を占めることにもなる.「制度統合」の結果,2つの大都市等に関する特例制度に集約されることになる.ただ,上記の特例市市長会の提案のように,2つの制度に集約された場合でも,その事務配分に関して「能力や地域の実情に応じて選択」を可能とした場合,決して「一様ではなくなって」*4もいく.2012年11月29日に開催された専門小委員会における配布資料等は公表されておらず,同素案の内容は確認はできず.公表後,要確認.
*1:武岡明子「第4章 市区町村と都道府県」柴田直子・松井望編著『地方自治論入門』(ミネルヴァ書房,2012年)98頁
*2:総務省HP(組織案内:審議会・委員会・会議等:地方制度調査会:会議資料: 第30次地方制度調査会第23回専門小委員会)「資料4−2全国特例市市長会 自律可能な都市制度について(提言)の概要」
*3:指定都市市長会HP(指定都市市長会とは)「指定都市とは」
*4:前掲注1・武岡明子2012年:99頁