【夕張】夕張市は29日の市議会行政常任委員会で、他自治体から派遣されている職員19人のうち、来年3月末で任期が切れる4人の派遣継続が難しいことを明らかにした。財政再生団体の市は職員採用に制限があり、叶野公司理事は人手不足に伴い機構改革を迫られる可能性を示唆した。
 財政破綻前の2006年4月に260人いた市職員(正職員のみ)は、大量の退職者が出て今年4月には103人に。来年3月末には99人と、100人を切る見込み。市は破綻以降、道や東京都、道内外の他市から職員派遣を受け、その数は09年度以降は毎年計20人前後に上る。来年3月末には札幌、旭川、石狩、岩見沢の4市からの各1人の任期が終わるが、常任委で市は「市長が継続を要請しているが、厳しい状況」と述べた。鈴木直道夕張市長は取材に「職員数や給与の抑制は再生計画の柱なので見直しは難しいが、士気向上や人材確保のためにも待遇改善は必要。国や道に主張していきたい」と話した。<北海道新聞10月30日朝刊掲載>

本記事では,夕張市における職員体制を紹介.2010年10月20日付の本備忘録でも記録した同市への派遣職員の離任により,2014年3月末には同市職員数が「99人」となる見込みとのこと.本記事でも紹介されているように派遣職員の現状は,同市HPを参照*1
派遣されている応援職員は「のべ44名」.応援職員の人件費は,地方自治法では「派遣を受けた普通地方公共団体の負担」*2となるところ,各派遣元の「自治体」の「理解」と「協力のもと」「派遣元にて」「負担」*3をしている.派遣された具体的な自治体は次の通り.

自治体名 職員数 期間
札幌市 のべ4名 2010年4月から現在まで
函館市 のべ2名 2009年4月から2012年3月末まで
旭川市 のべ2名 2011年4月から現在まで
釧路市 1名 2009年4月から2010年3月末まで
岩見沢 のべ4名 2009年4月から現在まで
伊達市 1名 2009年4月から2011年3月末まで
石狩市 1名 2012年4月から現在まで
東京都 のべ3名 2008年1月から2010年3月末まで
東京都 のべ4名 2011年7月から現在まで
春日井市 のべ2名 2008年4月から2009年9月末まで
日立市 1名 2009年4月から2011年6月末まで
広島市 1名 2009年10月から2010年9月末まで
浜松市 のべ3名 2010年4月から2013年3月末まで
裾野市 1名 2010年4月から2013年3月末まで

「多くの事務事業は,こうした派遣職員抜きでは考えられない状態」*4にあるとも解される同市.「継続的な派遣職員の確保」をはかるため,「自治体間の人事配置を新たに制度化」*5することをも適切とも考えられなくもなさそうか.

*1:夕張市HP「全国の地方自治体の皆様へ

*2:松本英昭『新版 逐条地方自治法第7次改訂版』(学陽書房,2013年)1256頁

新版 逐条地方自治法

新版 逐条地方自治法

*3:前掲注1・夕張市(全国の地方自治体の皆様へ)

*4:光本伸江・金井利之「夕張市政の体制転換と公共サービス編制の変容」光本伸江編著『自治の重さ』(敬文堂,2011年)186頁

自治の重さ―夕張市政の検証 (自治総研叢書)

自治の重さ―夕張市政の検証 (自治総研叢書)

*5:碇川豊『希望の大槌 逆境から発想する町』(明石書店,2013年)90頁

希望の大槌 逆境から発想する町

希望の大槌 逆境から発想する町