福岡市は高齢者の安全対策を強化しようと、徘徊(はいかい)する認知症高齢者の捜索を2千人の市民にメールで呼び掛ける「徘徊高齢者捜してメール」の運用を、12月10日から始める。高島宗一郎市長が29日の定例会見で発表する。一度に高齢者10人が死亡する医院火災が発生した市は「お年寄りの命を守るだけでなく、高齢化が進む中、住民が互いを支える共助の力を育てたい」としている。
 市内の認知症高齢者は今年3月で約2万9千人。2025年度には5万5千人に達すると推計される。一方、11年の県警調べでは、県内で741件の高齢者の捜索願があり、うち20人が死亡、46人が行方不明のままになっている。福岡市でも年間約100件の高齢者の捜索願が出されており、相当数の死者や不明者が出ているとみられる。捜してメールは、認知症高齢者の家族が高齢者の氏名や顔写真などを登録し、協力者として一般市民や企業も登録する。徘徊で行方不明になれば家族が市の委託業者に連絡。業者が高齢者の服装や身長などの情報を、メールで協力者に一斉送信する。家族が希望すれば顔写真も添えて送る。
 市は29日から家族と協力者双方の登録を受け付ける。協力者には市内の介護事業者に加え、ジョギングやウオーキングの愛好家、コンビニ店員など幅広い層を想定しており、運用開始時点で2千人の登録を目指す。事業費は年約450万円。協力希望者の登録は、携帯電話などで「support@req.jp」に空メールを送信すればよい。

本記事では,福岡市において徘徊される高齢者の捜索の取組を紹介.本記事では「29日」に開催された,市長「定例会見で発表」と報道されてはいるものの,現在のところ,同市長記者会見の記録*1では掲載されていない様子.公表後,要確認.
本記事をもとに整理すると,本取組では,「認知症高齢者の家族が高齢者の氏名や顔写真などを登録」.また,「一般市民や企業」は「協力者」として「登録する」ことになる.そして「徘徊で行方不明」となった場合,まずは「家族が市の委託業者に連絡」する.その後「業者が高齢者の服装や身長などの情報」を「メールで協力者に一斉送信」する,という.具体的には,協力者には「市内の介護事業者」とともに,「ジョギングやウオーキングの愛好家」「コンビニ店員など幅広い層」が「想定」されており,「多様なネットワーク」*2に基づく情報共通が進められることが企図されている模様.何れも「登録」制とあり,今後の登録の広がりは,要観察.

*1:福岡市HP(市長のオフィス)「市長会見

*2: Bevir,Mark.(2012)Governance: A Very Short Introduction,OxfordUP,p.77.

Governance: A Very Short Introduction (Very Short Introductions)

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