安倍内閣は27日の閣議で、東京都八王子市を中核市に指定する政令を決定した。施行は来年4月1日で、全国の中核市は44市となる。中核市は人口30万人以上が要件で、養護老人ホームの設置認可などの権限が都道府県から移管される。八王子市の人口は、2010年の国勢調査で58万人。

 青森県八戸市の小林真市長は26日、中核市への2016年度の移行を表明した。全国で43市が指定されており、実現すれば東北では青森や盛岡などに次いで6市目となる。
 小林市長は臨時記者会見で「市民福祉の向上や自立的なまちづくりを進め、東北屈指の都市として存在感を高めたい」と意義を強調。「スピード感を持って移行に取り組む」と決意を述べた。移行表明は、指定の人口要件を30万以上から20万以上に緩和する改正地方自治法が23日に参院本会議で可決、成立したのを受けた。八戸市の人口は4月末現在、23万7981。市長は昨年秋の市長選で移行を掲げ、今春から専門部署を設置し準備を進めていた。
 移行が実現すると、青森県から保健衛生や環境などの事務権限が委譲される。一方で事務作業が増え、保健所を独自に整備する負担も生じる。事務作業の増加などについて市長は「行政コストは基本的に地方交付税で賄える。スリムで効率的な組織づくりを検討し、必要な職員の確保に努める」と語った。
 市は今後、三村申吾知事に協力を申し入れ、県と協議を進める方針。

第1記事では,八王子市における中核市移行に関する閣議決定,第2記事では,八戸市における中核市移行に関する意向を紹介.
中核市制度の設計過程では,当初は「人口25万人以上というのは,一つの有力な考え方」*1と考えられつつも,事務・権能では「保健所の機能等と関連のある」として「保健所の設置の基準を人口25万人まで引き下げられないのかということを当時の厚生省に打診」がなされたものの,これに対して「厚生省は考え方は変えられない」*2との回答があり,移行要件は人口30万と規定された中核市制度.同制度の下で移行となるが,第1記事の八王子市.2014年5月26日の閣議にて決定*3
方や,第2記事の八戸市は,いわば保健所の設置(基準)という軛を外すように,「人口20万以上であれば保健所を設置することにより中核市となるという形」の条件付きで「中核市特例市の両制度を統合」*4とする第30次地方制度調査会の答申を受けて,2014年5月23日に成立した改正地方自治法では人口要件は20万人と改められた*5ことを受けて,現在特例市である同市は中核市への移行の意向,という.
今後は,中核市制度も「希釈化」*6となり,中核市制度となる都市の量的拡大となるか,要観察(保健所政令市の要件も20万人と改められたのでしょうか.こちらも要確認).

*1:松本英昭『自治制度の証言』(ぎょうせい,2011年)168頁

自治制度の証言―こうして改革は行われた

自治制度の証言―こうして改革は行われた

*2:前傾注1・松本英昭2011年:167頁

*3:首相官邸HP(閣議)「平成26年5月27日(火)定例閣議案件

*4:総務省HP(組織案内審議会・委員会・会議等地方制度調査会)「大都市制度の改革及び基礎自治体の行政サービス提供体制に関する答申」(2013年6月25日)10頁

*5:日本経済新聞社(2014年5月23日付)「市町村、広域連携しやすく 改正地方自治法が成立

*6:金井利之『自治制度』(東京大学出版会,2007年)178頁

自治制度 (行政学叢書)

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