東日本大震災の発生後、人口が増加傾向にある仙台市の中で、特に中心部・青葉区の伸びが著しい。2012年12月に人口30万を突破して以降も、他区を上回るペースで増え続けている。一つの区だけで中核市並みの人口規模になり、かつて市審議会が答申した区割り見直しの検討基準に触れる領域に達した。
 仙台市青葉区の過去10年の推計人口の推移は表の通り。ことし5月1日現在の青葉区の人口は30万2977人で、前月に比べ1899人増えた。他区は太白22万5761人(前月比751人増)泉21万6129人(306人増)宮城野19万2413人(626人増)若林13万3477人(566人増)で、青葉区の伸び幅の大きさが目立つ。市の試算では、人口は11年にも減少すると予測されていた。しかし、11年3月の震災発生後、市外の被災者や原発事故避難者、復興関係者らが転入し、想定が覆った。
 青葉区が30万人を超えたことで、注目されるのは市行政区画審議会が5区制の是非を議論して、01年に当時の故藤井黎市長に出した答申だ。5区制の維持が妥当と判断し、旧宮城町地区を青葉区から分区して「広瀬区」を新設する案を見送った一方、「将来的に一つの区の人口が30万人を超え、さらに伸び続けるような場合、区画の在り方を検討すべきだ」と求めていたからだ。
 仙台市は宮城町(当時)と1987年に合併した際、「宮城町地区の人口が5万人を超えたら分区を考える」と約束。同地区は96年に人口5万人を超えたため、98年に審議会が設置された。その後も愛子、栗生エリアで住宅整備が進み、住民は増えた。5月現在は約7万1000人で、青葉区の人口を押し上げる一因になっている。人口は区割り見直しの水準に達したが、今のところ分区論議について目立った動きはない。市区政課の伊藤勝也課長は「他都市の事例を参考に対応を研究する必要がある。震災後という特殊な状況にもあり、当面は人口が増え続けるのか、落ち着くのかを注視したい」と言う。
 全国の政令市では、横浜市が急激な人口増加に伴い分区を繰り返してきた。最近では札幌市が97年、豊平区からの分区で清田区を新設。その後、分区の例はない。仙台市行政区画審議会で委員を務めた元仙台市教育委員長の出村和子さん(82)は「一つの区だけ人口が膨れ上がるのは問題だが、区名が変わると住民は大変。慎重な議論が必要だ」と指摘する。

本記事では,仙台市における青葉区の現状を紹介.
2014年5月1日現在の住民基本台帳人口は「302,977」*1名の同区. 本記事でも紹介されている2005年5月現在からの人口推移を確認すると「282,620」*2とあり,この9年間で約2万人が増加しており,前年度同月からは「1,950」*3名の増加とある.本記事では,2011年以降での同市への「人口増加」のうちでの「社会増減」の「増加」*4を指摘する.同市の統計を確認すると,同区では,2010年5月の前年同月人口増減では「1,284」*5名の増加であるところ,2011年5月では「5,329」*6名の増加,2012年5月は「6,849」*7名の増加,2013年5月は「3,257」*8名の増加となり,現在,同区は人口302,977となる.そこで,本記事では,人口増加による分区が検討される場合の基準も紹介する.
人口は増加し分区の基準に合致すれども,「市議会議員選挙や道府県議会議員の選挙区」はもとより「社会団体」を「形成」する「単位」として,「政治的な代表を選出する単位」*9であるため,自律的な分区・合区の再編には制約がある行政区制度.今後の検討状況は,要観察.