東日本大震災で職員40人が犠牲になった大槌町新町の旧町役場庁舎一部解体工事は4日、重機を使った本格的な建物の取り壊しが始まった。震災遺構として保存を検討している正面玄関部分などを残し、全体面積の約7割を7月末までに解体する。
 公用車の車庫や議会事務局などだった西側部分から作業を開始。外階段や屋根、柱の一つ一つを丁寧に外して解体を進めた。町職員だった長女を亡くし、保存を訴えた同町小鎚の上野ヒデさん(71)は「いざ解体となると胸が詰まる。遺構が後世に震災を伝える材料になるはずだ」と庁舎を見つめた。一方で、同町吉里吉里(きりきり)の自営業佐々木嘉一さん(43)は「あそこを通るたびに津波のことを思い出してしまい通りたくない。周りでも同じ思いの人は多く、1日でも早く壊してほしい」と望む。工事を進める中村幸嗣現場監督(58)は「町民の方のいろんな複雑な思いがある建物。絶対に事故がないように工事を進めたい」と語る。作業員らは毎日、工事前後に庁舎前の献花台に手を合わせているという。

本記事では,大槌町における旧庁舎の解体工事の開始を紹介.
2012年11月13日及び2013年12月5日付の両本備忘録でも記録した同町の旧庁舎の保存と解体に関しては「多角的に検討」*1が進められた結果,「正面の庁舎を残し」「過去に増築された西側,東側,北側の庁舎が順次,解体」*2工事が開始されている.「工事費」は「28,404,000円」を「復興交付金効果促進事業」を活用し,「工期」は「平成26年2月25日から平成26年7月31日まで」*3.保存される部分の「維持管理」は「極力,財政支出を伴わないような方法」*4を検討することととなり,「改修すべきかどうか,30年後ぐらいに考えていただくことも,震災の記憶をつなぐことになるのではないか」*5との考え方も示されてる.庁舎の保存により将来につなぐ記憶とその費用の検討状況は,要観察.

*1:碇川豊『希望の大槌 逆境から発想する町』(明石書店,2013年)239頁

希望の大槌 逆境から発想する町

希望の大槌 逆境から発想する町

*2:大槌町HP(属性一般記事)「旧庁舎の一部解体工事始まる〜保存方法検討へ

*3:大槌町HP(属性町長室)「平成26年4月定例記者会見

*4:前掲注3・大槌町平成26年4月定例記者会見)

*5:前掲注3・大槌町平成26年4月定例記者会見)