羽咋市は、これまで紺色のハイブリッド車トヨタ・プリウスを使用してきた市長の公用車が、「市外で一般車と間違えられる」(総務課)として、12年ぶりに、黒塗り高級車のクラウンへ切り替えた。経費削減から廃止していた黒塗りを、再び登板させた形だ。 石川県内では「首長の格式が大切」と黒塗りを重視する自治体と、「広くて使い勝手がいい」とワゴン車に買い替える自治体に分かれている。
 新しい市長車はトヨタのクラウン・ロイヤルサルーンで、4WDのハイブリッド車。今月に569万円で導入した。羽咋市は本吉達也氏が市長だった2002年、特別職の専用車をハイブリッド車に変更し、議長車を除いて黒塗りを廃止。現在の山辺芳宣市長は、10年から副市長車だった紺色のトヨタ・プリウスを使用してきたが、走行距離が15万キロを超え、バッテリーに不具合が出たことから更新した。再び黒塗り車を採用したことについて、羽咋市総務課は「ほかの色では、市長が乗っていると認識してもらえない場合がある」と説明する。会合やイベント出席で市外に赴いた際、市長公用車と気付いてもらえず、来賓用でなく離れた駐車場に誘導されたケースが何度かあったという。買い替えでは、県内首長の公用車はほとんど黒塗りで、そのうち半数がクラウンであることを考慮した。
 黒塗り市長車の復活に、市民からはさまざまな意見が出た。40歳主婦は「時代遅れな感じ」と話し、39歳の自営業男性は「クラウンにする必要性はなく、黒いプリウスで良かった」と高級車を選んだことに首をひねった。一方、44歳会社員男性は「クラウンでもハイブリッド車なら節約になる」、52歳の会社員男性も「黒はフォーマルなイメージで格式は大事だ」と理解を示した。
 羽咋市は「一般的に、首長の車は黒のセダンという印象がまだ根強いと感じている」としている。
石川県内首長の公用車の過半数はクラウンで、黒塗りのセダン車は依然根強い。黒のクラウンを使用しているのは19市町のうち11市町。一方で、七尾、小松、かほく、津幡 、内灘、宝達志水の6市町は2010年以降、ワゴン車に変更した。七尾市は昨年5月、プリウスからワゴン車のエスティマにした。「車内でも打ち合わせ をしやすくするため」(秘書人事課)で、「走る会議室」の役割を担わせている。小松市 は「車内で会合に応じた服装に着替えられ、フットワーク軽く公務がこなせる」(管財課 )とメリットを挙げた。ハイブリッド車は11市町で導入。2011年から唯一、電気自動車を採用している金沢市は、環境に配慮した姿勢をアピールする狙いもある。

本記事では,羽咋市における市長車購入の結果を紹介.
本記事で紹介された,同市による同車の入札結果を確認すると,「予定価格」は「5,830,000」円に対して,3社の入札があり,うち1社は「辞退」し,「5,697,000」円と「5,713,200」の入札が行われ前社が落札.「落札金額/予定価格」により算出される「落札率」は「97.72%」*1となる.
また,本記事では,同市が位置する石川県内市町の現状も「黒塗りのセダン車」は「19市町のうち11市町」,「ワゴン車」は「6市町」,さらに「ハイブリッド車は11市町」で採用されていることが分かり,興味深い.同市では「紺色」の「ハイブリッド車」を従来利用していたところ,今回「黒塗り」セダンの「ハイブリッド車」を購入.本記事によると,上記の通り「県内首長の公用車はほとんど黒塗りで,そのうち半数がクラウンであることを考慮」された,と報道されており,いわば,「模倣」による「政策移転」*2とも整理ができそうか.

*1:羽咋市HP(お知らせ平成26年度入札結果)「平成26年8月21日入札結果

*2:秋吉貴雄,伊藤修一郎,北山俊哉『公共政策学の基礎』(有斐閣,2010年),254頁

公共政策学の基礎 (有斐閣ブックス)

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